ハマス幹部「長期消耗戦」を表明、4万2千人死亡もイスラエル奇襲に「後悔はない」 ガザ戦闘1年、譲歩拒否で停戦の実現見通せず
パレスチナ自治区ガザでイスラエル軍と戦闘を続けるイスラム組織ハマスの政治部門幹部2人が、拠点を置くカタールの首都ドーハで共同通信の取材にそれぞれ応じた。いずれも停戦交渉での譲歩を拒否し、戦闘はゲリラ戦を中心とした「長期消耗戦に入った」と述べ、徹底抗戦を続ける構えを示した。 【写真】ハマス指導者殺害直前の動画公開 ドローン、棒投げ最後まで抵抗
ハマスの奇襲攻撃で昨年10月に始まったガザ戦闘は7日で1年。ガザは甚大な被害を受け死者は4万2千人を超えたが、ハマス幹部は「後悔はない」と強調した。奇襲で約1200人が犠牲となり「ハマス壊滅」を主張するイスラエル側にも歩み寄る動きはない。停戦実現は見通せない現状だ。(共同通信カイロ支局=勝井潤) ハマスはイスラエルの占領下にあるパレスチナを国家として独立させることを「大義」に掲げる。インタビューに応じたホサム・バドラン氏は、イスラエルを奇襲攻撃した理由について、薄らぎつつあるパレスチナへの注目を再び集める必要があったと強調した。(取材は10月2日に実施) ―なぜイスラエルを奇襲攻撃したのか。 「奇襲攻撃がなければ、(独立国家を樹立するという)パレスチナの大義は完全に忘れ去られてしまっていただろう。(イスラエルの占領下で)多くのパレスチナ人の命が奪われ、財産が破壊され、未来が失われていることについて世界の関心は薄らいでいた。パレスチナ人は「占領下の暮らしはもうたくさんだ。国際社会は何十年も沈黙を貫いている」と訴えていた。われわれは占領への抵抗運動として、この状況をこのまま放置しておくわけにはいかないと判断した」 ▽占領からの解放が明確な目標
―イスラエルとの戦闘でガザは甚大な被害を受け、多数の犠牲者を出した。 「後悔はない。パレスチナ人は何十年もの間、占領下に置き去りにされてきた。人々は殺され、家を破壊された。10月7日に至ったのは自然な流れだ。われわれには占領からの解放という明確な目標がある」 ―ガザの戦闘は現在どうなっているのか。 「(イスラエル)占領軍はハマスの軍事能力を壊滅したと主張しているが、それは正しくない。ハマスは軍事能力を維持している。占領軍はガザで何も成し遂げていない。われわれはこの戦いに向けて長い間準備してきた。占領軍の士気低下を狙ったゲリラ戦が現在の戦術だ。武器はガザで製造されている。ハマスが長期にわたり戦闘を継続する能力を持っていることは占領軍も認識している」 ▽ガザやレバノンで起きていることは西側諸国の責任でもある ―ガザの戦火はレバノンに拡大し、イランは親イラン民兵組織ヒズボラ最高指導者のナスララ師殺害の報復としてイスラエルを直接攻撃した。