田中将大 メジャー仕様に進化させた魔球
「試合を通してバランスを崩されてしまって、我々はスイングさせて貰えなかった。我々は球をチェイス(追いかけて)してしまった。あれだけストライクゾーンのコーナーを突かれると難しい。(リーグが違って)彼との対戦は少ないことが幸いだ。本物のフォークを投げる投手が、リーグに一体何人いるだろうか。(スプリット投手があまりいないことも)彼の利益になっただろう」 確かに、メジャーでは、スプリットは「肘を痛める」というタブーのボールになっていて、武器にする投手は少ない。先発投手では、ダルビッシュや黒田、抑えでは上原という日本人投手に限られていて、打者が戸惑う魔球なのだが、その質が悪ければ通用はしない。 カブスは、もうひとつの田中対策も仕掛けてきた。バントでの揺さぶりだ。初回、先頭のボニファシオがいきなりセフティーバント。2回には、1死から6番・レークが三塁線にセーフティーバント。田中がうまくさばき、アウトの判定となったが、カブスベンチは、審判にビデオ判定の「チャレンジ」を求め、これが成功して内野安打となった。しかし、バルブエナ、オルトを連続三振。7回にも先頭の3番・リゾがセーフティーバント。これもヒットになったが、後続をピシャリ。メジャーでは、バント処理などに動作の鈍い選手もいるが、田中をはじめ、日本の投手は、バント処理に関しては、高校野球時代から嫌というほど鍛えられている。終わってみれば、このバントヒット2本だけが、被安打だったから、ノーヒッターもあったのではと ついつい“たられば”を考えてしまう。 田中は、この日、そのスプリットに関して聞かれ「今までの登板よりコントロールできた。今までの2試合では悪過ぎたので、それに比べたら良かった」と手ごたえを口にした。そして「試合の中で、変えたところがある」とも、つけ加えた。実は、1、2試合の反省を元にメジャー仕様のスプリットへと改造を加えていたのだ。