田中将大 メジャー仕様に進化させた魔球
ヤンキースの田中将大が現地時間16日、本拠地ヤンキースタジアムで先発し、8回を2安打、無失点、10奪三振の圧巻のピッチングでメジャー2勝目を手にした。これでデビューから3試合で28三振。Elias 調べによると、ヤンキースの投手でデビュー3試合以内では、1987年のアル・ライター(25三振)を越えて歴代最多記録。また、8回以上を投げて10三振以上を奪い、2被安打以下に抑えたのは、2005年7月26日のランディ・ジョンソン(8回2被安打11三振)以来となる快挙だった。 メジャーの名だたる名投手と、肩を並べていくような素晴らしい三振ショーを支えたのは、宝刀スプリットだ。10個の三振のうち7つが、そのスプリットで奪ったスイングアウト。カブスの監督は、「スプリットに手を出すな」との指令を出していたが、その指令も功を奏しない。なぜなら、田中のスプリットは、ストライクゾーンからボールゾーンに落ちるものだけではなくストライクゾーンからストライクゾーンに落ちるものもあるからだ。この打者に振ってもらうことだけを前提にせず、自分からストライクも取りにいける投手主導型の落ちるボールが、昨年楽天で24連勝を実現した田中の特長だったが、ようやく、その感覚をメジャーでも取り戻した。しかも、腕の振りとフォームがほとんど一緒なので、ストレートとスプリットの見分けがつきにくい。カブスの監督も「ボールが手から出てきた瞬間は、直球に見えるんだ。とてもいいアクションがある」と降参した。 試合後、二番打者のルギアノは、「初めてスプリットを見たけど一種類じゃなかった。ストンと落ちるのもあったし、横に落ちるのもあった。オフスピードのボールを振り続けてしまった。そもそも、ナリーグには、あんなにスプリットを投げる先発選手はいないよ。中継ぎ、抑えならいるけど」と、首を何度か横に振った。4番を打つシャーホルツも、田中の宝刀スプリットを絶賛した。