長寿CMソング「ホテルニューアワジ」制作秘話 声の主・西浦達雄に聞く
9月7日は「CMソングの日」
CMソングの日に聞く 西浦達雄「ホテルニューアワジ」制作秘話 ナレーター・編集:柳曽文隆 THEPAGE大阪
取材中、ある雑誌の記念日欄を見ていると、7日は「CMソングの日」という記述を見つけた。1951年9月7日に初めてCMソングを使ったラジオCMがオンエアされたことが由来だという。それから65年、テレビやラジオで様々な曲を耳にすることが多く、自分なりにお気に入りのものがあるという方も多いのでは? 関西在住の筆者も、おもしろい曲の数々を耳にしてきたが、幼少の頃から聴きなれた曲のひとつに「ホテルニューアワジ」というCMソングがある。関東出身の筆者の同僚も「地元のテレビ局で見たことある」と言ってたので、そこそこ知っておられる方も多いのではないだろうか。そこで、その曲のほか様々なCMソングを手がけてきたシンガーソングライターの西浦達雄さんに、CMソングを作る時の気持ちなどを聞いてみた。 【別の動画と拡大写真】西浦さんのCMソングを作る時の心得は?「リーブ21」ソング制作秘話も
「ホテルニューアワジ」本当は女性ボーカルのはずだった?
「ホテルニューアワジを作ったのは、今から30年以上前ですね」と振り返る西浦さん。きっかけは、制作会社からの依頼で「日本調のものがほしい」という希望だったという。 そこで、西浦さんはいくつかのパターンを考えたという。「今で言うJ-POP、当時はニューミュージックって言ってましたね。それと、童謡調のもの、そして演歌調のものを作ったんです」 そして、後に選ばれたのが現在もテレビなどで流れる「演歌調」のものだった。西浦さんは、長年バンドマンをしており、かなりの回数演歌を演奏したが、その経験がかなり生かされた結果となった。 今も流れている曲では、最初に琴の音色などが響いた後「ホテルニュ~ア~ワ~ジ」という声が聴かれるが、この声も西浦さん自身の声だという。 「この曲、最初は演歌歌手の方が歌う予定だったんです。けど、制作費の関係でそれができなくなって。そしたらデモテープを聴いて『これでいこうやないか』という話になり...実は、今みなさんが耳にされているあのフレーズは、デモテープなんですよ」と語った。 しかし、こうした話を聞かなければ、デモテープとは思えない。しかも、30年以上も続いていることから、関西のバラエティ番組などで「関西のCMで浮かぶ曲は?」というランキング特集では、必ずと言っていいほど、上位にランクしていることが多い。西浦さんはこのことについて「自分の作った曲を、これだけ多くの人に知ってもらえてるというのはありがたいですね」と笑顔で話す。 そして、2014年まで28年にわたり、ABC朝日放送の高校野球中継のエンディングテーマを担当していたことで知られており、コンサートの際に「ホテルニューアワジのCMソングは私です」と言うと、会場が「え~?」「そうなんや」と沸いたという。「かなりギャップがあるようですね」とうれしそうだ。