長寿CMソング「ホテルニューアワジ」制作秘話 声の主・西浦達雄に聞く
「リーブ21」はラップ聴きまくって曲作り
ただ、手がけた曲はこれだけではない。少し前になるが「リーブ21」のCMソングも担当。その時は、歌手の松崎しげるさんがラップ調の曲を歌い、最後は電話番号「ナヤミムヨオ」で締めるあの曲だ。 「あの依頼を頂いた後、僕はラップの曲をいっぱい聴きまくって勉強しました。それでできたのが流れた曲です。バックコーラスは僕なんですよ」と笑顔で語る。 このほか「あれはバブルのころですけど、フリスキー・モンプチも作りました。贅沢感を出そうと、私の同級生のオペラ歌手を頑張っている仲間にクラシックの壮大な音楽を歌ってもらいましたね」と振り返る。 ふだんは先のホテルニューアワジのように何パターンが曲を作ることもあるが、これは時間の関係などもあり、実際に使われた曲1本で「勝負した」という。
CMソング制作は「引き出し」をたくさん持っておくこと
西浦さんに「CMを作る時に大事なことは?」と聞くと「もちろんですが依頼者の意向というものがありますから、まずは音楽ジャンルの『引き出し』をいっぱい持っておくことが大事かと思います」と即答した。 そして「CMは1曲の曲と違って、いろんなことを要求されますから。そして、それはCMソングをいっぱい作ることによっても、増えて行くものなんですよね」と続ける。 また「思いつき」もかなり大きいという。「CMはナマモノの感覚があるので、思いついたらすぐに絵(曲)にする感覚はあります。これが例えば、高校野球のテーマ曲は逆に1か月くらい悩んだりもしますけどね」 現在もコンサート活動を続ける中、様々なテーマソングなどの依頼も受けている。その一覧を見ると、社歌や校歌、スポーツ大会のテーマソング、そして身近なものでは商店街のテーマ曲などもある。 「こうした依頼を頂くのもありがたいですが、どのような曲でも、自分の曲をこうして知ってくださる、それが本当にうれしい瞬間ですね。これからもこうした依頼はいつでもお受けしようと思います」とうれしそうに話す西浦さん。次は、どのような親しみのあるCMソングや曲を作ってくれるのか注目される。 ■西浦達雄(にしうら・たつお)1954年9月22日生まれ。大阪市東住吉区出身。ヤマハポピュラー・ソング・コンテスト(ポプコン)にも出場し、関西決勝まで進み、20歳の時にバンドマンの道へ。大阪のミナミや北新地のキャバレーなどでピアノ演奏などを行い、夜はバーテンも経験。1987年、バーテンをしていた時に客として訪れたABC朝日放送のスポーツ担当プロデューサーに実力を見出され「全国高校野球選手権大会中継」のエンディングテーマに「手の中の青春」が抜擢され、以来28年にわたりエンディングテーマを担当した。