ブレーキキャリパーが完全固着!! そんなときには「お湯と水圧」に頼る
しばらく乗らずに放置されていた車両の中には、ブレーキキャリパーが固着気味で、ブレーキレバーを握ったとたんに前輪がロックしたまま動かなくなってしまった……そんな経験をしたことがあるライダーは、意外と数多いのではないかと思う。そんなブレーキピストンが固着したキャリパーを、壊さないように分解するには、どのように作業したら良いのか? その一例をリポートしよう。 【画像】固着したブレーキキャリパーの分解手順をギャラリーで見る(16枚) 文/Webikeプラス たぐちかつみ
メンテナンスでも意外と便利に使える「やかん」や「鍋」
ブレーキキャリパーの洗浄や維持メンテナンスしていなかったことで、ダストシールやピストンシールが噛み込み、キャリパーシリンダーからシールがハミ出してしまうことも決して珍しいことではない。ノーメンテナンスで走らせ続けてしまうと、このようなケースに陥ってしまうことがあるので、日頃から点検し、クリーンナップと必要に応じたメンテナンスを実践するように心掛けよう。「キャリパーピストンのもみ出しクリーニング」といったメンテナンスを定期的に実践していれば、このような仕打ちにあわなくて済むようになるはず。仕方ないので、キャリパーを分解して、まずは「やかん+お湯」でキャリパーボディを温めてみた。軽度な症状なら、ボディを温めてからエアーガンでフルードポートを吹き付けることで、ピストンが抜けることもあるが、今回の固着には太刀打ちできなかった。
エアーガン+圧縮空気があってもダメなときはダメ
仮に、少しでもピストンが動いていたら、ブレーキピストンツールをセットして、2個のピストンが常に同期するように心掛けよう。片側だけが抜けてしまうと、もう片側を抜き取るのに苦労してしまうからだ。また、エアーを吹き付けたことでいきなりピストンが飛び出すと危険なので、エアーガンを吹き付ける際には、ピストンが飛び出さないようにウエスを巻いて縛るのが良い。
エアー密度を高めるため、ブリーダーへ栓をしてみたが
エアーブリーダーが機能していれば、ブリーダーを締め付けることで気密を保つことができるが、ここでは、同じネジサイズかつ同じネジピッチのボルトを準備して、ボルトにシールテープを巻き付けてからボディへ締め付けて、気密を保ってみた。そして、ゴム製ノズルを付けたエアーガンを押し付けてフルード通路内に吹き付けてみた。しかし、ピストンが出てくる雰囲気は、まったく無かった。酷い固着だ……