G20「安心安全・信頼できるAIへ協力」…首脳宣言の原案判明、危機感を共有しルール作りを加速
【リオデジャネイロ=太田晶久、大月美佳】主要20か国・地域(G20)首脳会議が18日午前(日本時間同日夜)、ブラジルのリオデジャネイロで2日間の日程で開幕した。同会議で採択を目指す「リオデジャネイロ首脳宣言」の原案が判明した。「安全、安心で、信頼できる人工知能(AI)の開発、導入を確保する」として、「国際的なガバナンス(統治)に関する国際協力を促進する」とルール作りを加速させる方針を盛り込んだ。
原案はAIの急速な進歩に関し、「著作権者に与える影響の議論について、効果的な国際的関与を求める」と明記した。生成AIが著作権で保護された記事や写真、絵画を違法にコピーする事態などを想定しているとみられ、対策に国際協調が不可欠との認識を打ち出したものだ。
「AIなどの加速度的な進化は、誤情報や偽情報の規模・範囲に劇的な影響を与えている」と危機感を示し、「適切な安全策を講じた透明性」を確保するべきだとも訴えた。
国際貿易に関しては、原案は「経済成長、貧困・飢餓との闘いの原動力だ」として、「世界貿易機関(WTO)を中核とする多角的貿易体制を確保する必要性」を指摘した。多国間主義に否定的なトランプ次期米大統領の就任も見据えたものとみられる。
国連改革を巡っては、「安全保障理事会を21世紀の現実に整合させる」として、アフリカやアジア太平洋などからの代表も加えるべきだと主張。「代表性を向上させる安保理の構成拡大を求める」と強調した。
G20は、途上国に先進国が支出する「気候資金」や超富裕層への課税強化などを盛り込む閣僚宣言を採択した。しかし、集大成となる首脳会議を前に米国の大統領に「自国第一」主義を掲げるトランプ氏の復帰が決まり、合意に向けた協議が複雑化している。
ロイター通信によると、閣僚レベルで合意していた超富裕層への課税強化について、アルゼンチンが拒否に転じた。同国のハビエル・ミレイ大統領が14日にトランプ氏と会談し、態度を変えたという。ウクライナや中東を巡る首脳宣言の文言調整も難航が予想される。