「侵入犯罪」に狙われる戸建ての特徴は? 安全に見えてリスクの高い構造
セキュリティを突破し、家屋に侵入してくる「侵入犯罪」の件数は、警視庁のデータによれば、平成中期から令和4年まで減少していた。しかし、令和5年になるとそれは増加へと転じている。 あらゆるものに関する「セキュリティ面」が話題にあがるこの時代、私たちがこういった「侵入犯罪」に対して投じることのできる解決策とはどのようなものなのか。「血流認証」の開発を進める、バイオニクス株式会社の須下社長の話を聞いた。
侵入しやすい住宅と侵入しにくい住宅の違い
まず、戸建ての住宅については、はっきりと侵入しやすい住宅と、そうでない住宅に分かれます。これは、防犯のプロも分析しています。 侵入するポイントについては、玄関であることは少なく、大抵は窓を破っての侵入が多いのが現状です。庭に面しているような大きなガラスドアを破壊して侵入するという事例も見られます。 侵入されやすい戸建て住宅の代表的な特徴として、高い塀で囲まれた要塞のような外観が挙げられます。一見すると安全に見えるこのような構造は、人目を遮ることでかえって侵入を容易にし、また経済的な余裕を感じさせることで標的になりやすい傾向があります。 さらに、手入れの行き届いていない庭も危険信号となります。生い茂った植栽による視界の悪さに加え、庭のごみや管理状態から居住者の煩雑さが推測可能となり、防犯意識の低さを示唆する可能性があるためです。 鍵がかけられておらず、ドアも開いたままかもしれません。鍵を閉めていても、警備会社と連携していないお宅もたくさんあります。このような様子からくみ取れる"気持ちの面での隙間"があると、犯罪者に狙われやすいと考えます。一方、侵入されにくい住宅は、敷地全体の見通しが良く、周囲からの視認性が高いことが特徴です。 集合住宅においては、二階以上の住戸はベランダからの侵入リスクが比較的低いとされています。人目もあり、怪しまれやすいのが大きな理由です。また、オートロック式の鍵を導入している集合住宅もあります。これは一見、安全そうに見えますが、住人が入る時に一緒に侵入できてしまうというリスクを持っています。さらに、玄関は主にピッキングによる侵入被害が多く、近年普及しているスマートロックシステムでは、車盗難時と同様に電波のハッキングによる侵入リスクも指摘されています。 そもそも、鍵が物体として存在しているということは、鍵が複製されるリスクをはらんでいます。鍵を複製されてしまえば、「鍵を開ける」という違和感を抱かせない普通の動作で侵入できてしまうので、周囲から怪しまれることは少ないでしょう。鍵の複製は、対象となる鍵の番号を見つけさえすれば、それを問合せすることで簡単に行うことができてしまうのです。 実際、管理会社に勤めていた人物が、鍵の番号を把握していて、管理会社を辞めてから、こっそり複製してしまうというケースもあります。警備会社含め、業者の関係者に鍵を複製されてしまうリスクもあるのです。