フリーダ・トランゾ・イエーガーの個展がタカ・イシイギャラリー 前橋で開催。ニヒリズムの研究から未来創造を考える
群馬・前橋のタカ・イシイギャラリー 前橋で、フリーダ・トランゾ・イエーガーによる個展「Against Meaninglessness (アゲインスト・ミーニングレスネス:無意味への反抗)」を開催される。会期は9月27日~11月10日。 トランゾ・イエーガーは1988年生まれ。ハンブルク美術大学にて美術学士号と美術修士号を取得しており、メキシコシティを拠点に活動している。近年の個展に「A future in the light of darkness」Modern Oxford(オックスフォード、2024)、「Frieda Toranzo Jaeger: Autonomous Drive」MoMA PS1(ニューヨーク、2022)、「The Perpetual Sense of Redness」Baltimore Museum of Art(2021)があるほか、国際的なグループ展にも参加している。 トランゾ・イエーガーは脱植民地的な思考、クィアの自由、自然との結びつきといったテーマや、彫刻的で複数のパネルをつなぎ合わせたキャンバスと刺繍という特徴的な表現形式を継続的に取り入れつつ、社会政治的危機や暴力的過激主義など、現在の社会情勢から生じる問題にも言及してきた。 トランゾ・イエーガーのおもな関心はファシズム、ポピュリズム、戦争やジェノサイドの台頭にあり、その原因には自分の行動では何の変化も起こせないという主体性の欠如と、無力感、そこから生まれるニヒリズムにあるとしている。本展の枠組みを構築するにあたり、トランゾ・イエーガーは日本の哲学者である西谷啓治(1900~1990)の著作、特に彼のニヒリズム(虚無主義)に関する研究を分析した。 本展の作品群で、ニヒリズムと禅宗を統合するという西谷の提案に焦点を当て、展覧会を「庭園」「宇宙」「ハート」「車」の4つの主題で構成。西洋美術の伝統的なセミオロジー(記号学)に挑戦しながら、未来創造に向けて思考する。