あなたの会社は大丈夫…? 企業「後継者不在率」は61%…’25年までに650万人が失業の可能性も
社長が70~80代の企業の多くが「後継者不在」……高額な事業譲渡M&Aの費用を払えず倒産も
中小零細も含む企業で、経営者の6割超に後継者がいないという調査結果がある。中小零細などでは経営者が突然の体調不良や死亡で経営不振となり、後継者がいなくて倒産することもある。経営者が早めに後継者を外部に求め、企業を売買譲渡するなどの動きもあるが、さまざまな課題が山積している。 【画像】「幸福の科学の財産を全部売り払います!」大川隆法の長男・宏洋が語った「もし僕が後継者になったら」 後継者難で倒産すると、地域経済にも影響する。 「パート・従業員とか地域の雇用問題にもなり、地域経済衰退にもつながりかねません」 と話すのは、東京商工リサーチ情報本部の坂田芳博課長。大企業のような定年もない中小零細の経営者には「元気なうちは自分が働く」という人が少なくないという。坂田さんは「経営者がいまは元気でも、会社を存続させるのか、存続させるなら後継者をどうするのか、自覚しないと始まらない」と話す。 こうした後継者難の背景には「経営者が高齢化していることもある」と、坂田さんは指摘する。 国も企業の後継者難に危機感を強め、対策を進めようとしている。中小企業庁の検討資料によると、中小・小規模事業で70歳を超える経営者が’25年までに約245万人となり、その約半数の127万人が後継者未定になると推測する。これを放置すると廃業が急増して、’25年に累計で約650万人の雇用、約22兆円の国内総生産(GDP)を失う可能性があるとみている。 町工場のような中小企業には、優れた技術で日本のものづくりを支えてきたところもあり、技術の承継も課題になっている。 ◆事業譲渡のM&Aに消極的な理由は「世間体」!? 企業をそのまま譲渡する方法として、合併・買収(M&A)がある。企業の売り手と買い手を探し出して結びつけるのがM&A仲介ビジネスだ。大手銀行を退職後にそのビジネスに従事する50代の男性は、後継者のいない企業もM&Aの対象にしている。こうした事業譲渡の手法を利用するのに経営者が消極的な理由を「世間体」と指摘し、次のように説明する。 「『刀が折れ、矢が尽きて敗北』というイメージがまだ残っています。 最近は後継者がいなくて、にっちもさっちもいかなくなり、従業員から突き上げられたりして、やむなく売却に踏み切るオーナー会社もあり、状況は変わってきています」 昨年の「後継者不在率」は約61%と、前年に比べ1.19ポイント上昇し、調査開始以来で初めて6割を超えた。東京商工リサーチが約17.1万社を対象に調べた。後継者問題が急務ではない新興企業の若い経営者が増えたこともあるが、経営者が高齢で後継者が不在だと、その死亡や体調不良で倒産に至る懸念があると指摘する。