2024年12月からiDeCoの掛金が一部増額へ 企業型DC加入者や公務員も月額1.2万円から2万円に引き上げ、自身で手続きが必要になることに注意
老後資金の備えとしてiDeCo(個人型確定拠出年金)は有効な手段の一つだ。そのiDeCoが今年12月に改正される。改正のポイントは何か。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第115回は、「iDeCo改正」について。 個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さん
* * * 新NISA(少額投資非課税制度)スタートによって、NISAばかりに注目が集まっていましたが、じつは老後の資産形成において、多くの人にとってiDeCo(個人型確定拠出年金)の利用は有効です。2024年12月には、一部掛金の増額が決まっており、iDeCoの存在感に注目が高まりつつあります。
iDeCoの概要おさらい
iDeCo(イデコ)は、個人型確定拠出年金の略称で、老後の資産形成を目的とした私的年金制度の一つ。主な特徴は以下になります。 【1】加入資格 ・原則20歳以上65歳未満が加入可能 ・会社員、公務員、自営業者、専業主婦(夫)など幅広い層が対象 【2】税制優遇: ・掛金の全額が所得控除の対象 ・運用益が非課税 ・受取時に税制優遇あり 【3】自己責任での運用: ・加入者自身が運用商品を選択 ・預金、保険、投資信託などから選べる 【4】掛金の上限: ・職業や他の年金制度への加入状況により異なる ・月額5000円から6万8000円まで 【5】受取開始年齢: ・原則60歳から75歳までの間で受取開始可能 【6】途中引き出し制限: ・原則60歳まで引き出し不可 iDeCoのもっとも大きなメリットは、掛金の全額が所得控除の対象になることです。日本の所得税は、所得が大きくなるほど税率が高くなる累進課税で、税率は5%~45%。もっとも多いのが5%~10%の層です。 かりに所得税率10%の人が、毎月5万円をiDeCoで拠出した場合、年間の掛金60万円が所得控除されます。控除されなかった場合、60万円の所得にかかる税金は、所得税10%に加え、住民税10%がかかりますので、合計12万円。つまり年間12万円の節税効果があります。かりに40歳でiDeCoに加入して、60歳まで20年間同様の掛金で続ければ、240万円もの節税効果があります。 所得がない人にとっては、このメリットがありませんが、所得が大きい人ほど、節税効果は高くなります。 一方のデメリットは、60歳まで引き出せないことです。20代、30代の若い世代にとっては、今後の人生において、どうしても資金が必要で引き出さなくてはいけない場面も出てくる可能性があります。その場合は、いつでも換金できるNISAを優先させたほうが安心です。
【関連記事】
- 【年末までに仕込みたい注目株&投資信託16選】来年1月の新NISA非課税投資枠更新で新規マネー流入期待、注目は高配当株や政策追い風銘柄
- 【iDeCoの拠出期間延長へ】“50歳で加入、70歳まで毎月2万円を積み立て”シミュレーション、運用益なしでも84万円の節税メリット
- 【新NISAとiDeCoの年代別攻略ガイド】20代から60代まで、年齢・家族構成によって変化する「リスク許容度」を踏まえたポートフォリオの組み方
- 【経済評論家・山崎元さんが遺した名著に学ぶ】年齢も資産額も関係ない“1つの投資信託を買って持ち続けるだけ”の「ほったらかし投資術」
- 伝説のトレーダー・清原達郎氏 投資初心者は「オルカン」や「S&P500」より「TOPIX連動ETF」を選ぶべきと助言する理由