コメに続きパンも…! 2022年以降1月では最多の値上げ、止まらぬ物価上昇「悪いインフレ」はいつまで続く
帝国データバンクが26日に公表した主要食品メーカー195社の価格改定動向調査によると、来年1月からパンを中心に1380品目の値上げが予定され、同社が調査を開始した2022年以降、1月としては最多となることが分かったという。 【写真】日銀が「異次元緩和」を総括…12年に及んだ“壮大な社会実験”はやはり失敗だったのか? 1月は山崎製パンが主力の食パン「ロイヤルブレッド」や菓子パン「薄皮つぶあんぱん」など、計290品目について価格を平均5.6%引き上げるほか、敷島製パンも、食パン「超熟」など計235品目の価格を約1~5%高くする。 今年は「令和の米騒動」によって主食であるコメの価格が急騰し、新米の出荷が始まった秋以降も高止まり状態が続いている。このため、SNS上では《コメに続いてパンもか…》《一体何を食べればいいのやら》などと嘆く投稿がみられるのだが、実質賃金(10月)が3カ月連続のマイナスとなる中、物価だけが上がり続ける今の状況はまさに「悪いインフレ」と言っていいだろう。 「悪いインフレ」に対する懸念は2012年12月に発足した第二次安倍政権が経済政策「アベノミクス」を掲げて以降、国会質疑でも野党議員が度々、指摘していたことだ。 黒田東彦前総裁(80)は安倍政権の方針を受け、13年4月、「2年程度で消費者物価2%目標を実現」「マネタリーベース及び長期国債・FTF(上場投資信託)の保有額を2年間で2倍に拡大する」とした異次元金融緩和を開始。 ■野党議員は繰り返し安倍元首相や黒田氏に政策転換や見直しを求めたが… だが、すでに当時からこう懸念されていた。 「悪いインフレが起きて、実体経済がついていかない。国民の賃金、所得が上がらない、物価だけが上がる、そんな事態を招くのではないか。大胆な金融緩和、そして2年で2%のインフレ目標達成というのは非常に危険をはらんでいる」(13年4月2日の衆院予算委) 「円安による輸入価格の上昇によって望ましくないコストプッシュのインフレが起きているのではないか」(14年10月3日の衆院予算委) 「実質賃金、実質可処分所得が減少している。悪いインフレが起きている」(15年2月4日の衆院予算委) 野党議員はこう言って繰り返し安倍晋三元首相や黒田氏に政策転換や見直しを求めたのだが、そろって政策維持の方針を変えず。また、アベノミクスを引き継いだ岸田文雄首相(67)も「国民生活が悪いインフレに苦しめられている」として「脱却」を促されたが、取り付く島もなかった。 日本銀行は今月になってようやく、異次元緩和について「大規模かつ長期間にわたって継続する場合には副作用をもたらしうる」と分析したが、「悪いインフレ」という副作用はいつまで続くのか。 ◇ ◇ ◇ 12年間に及んだアベノミクス。●関連記事【もっと読む】で《日銀が「異次元緩和」を総括…12年に及んだ“壮大な社会実験”はやはり失敗だったのか?》、【さらに読む】で《動かぬ植田日銀 追加利上げ見送りで再び円安「1ドル=160円」到来確実…1月も動けぬ恐れ》を取り上げている。