3度目のJ1クラブ撃破はならず。京都に完敗の千葉は躍進した天皇杯で何を手にしたのか
ターンオーバーを選択するも
[天皇杯・準々決勝]京都 3-0 千葉/8月21日/フクダ電子アリーナ J1のFC東京と札幌を破る躍進を見せていたJ2千葉の天皇杯での戦いが幕を閉じた。 【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「J歴代ベスト11」を一挙公開! 9月18日に迎えた準々決勝も慣れ親しんだフクダ電子アリーナで戦えるアドバンテージを有していたが、序盤からJ1の京都に攻め込まれて完敗。力の差を見せつけられる形となった。 もっとも現在リーグ7位の千葉は、3位から6位が進める昇格プレーオフ出場(1、2位は自動昇格)を懸けた熾烈なレースを戦っている最中。4日前の9月14日のアウェー秋田戦は0-1で5試合ぶりの痛い敗戦を喫し、この京都戦の3日後には勝点1差に迫る6位の山口との重要な一戦を控えている。ターンオーバーを選ぶのは致し方ないことで、特に最終ラインは急造とも言えるような4バックとなった。 その影響か、就任2年目の小林慶行監督の下で磨いてきた後方からの丁寧なビルドアップは京都の激しいプレスに寸断され、技術的なミスも重なった。 ただ、残念だったのは、その苦境に立たされた時に勇敢さが欠けていたように映った面だ。相手の前からのプレッシングを上手くいなすのが難しいのであれば、球際やボールへの寄せ、相手より走り切る部分など、よりベーシックな面で食らいつきたかったが、格上を相手に混乱もあったのか、最後まで劣勢のまま試合を終えてしまった印象だ。 何度も好セーブを見せたが、3失点したことを悔いるGK藤田和輝も振り返る。 「リーグ戦でなかなか出られない選手が、こういうところでチャンスをもらって、ここ2試合(天皇杯でのFC東京戦、札幌戦)はすごくできていなたなかで、今日は長所を出せなかった。少し暑かったというのはあると思いますが、前回、前々回の天皇杯の試合とはそんなに変わらないなかで、今までと違う感じだった。なぜそうなってしまったのか、それは僕も含めて個々の問題でもあるので分からないですが、もったいない試合をしてしまったというのが率直な想いです」 実際に技術レベルは京都よりも劣っており、J1経験も豊富なFW高木俊幸も「遠くを見れないと、空いているところも見つけづらくなってしまうので、ボール回しがきつくならないようにまずは基礎的な部分。相手とのそこの差はあったと思います」と語るが、千葉にも楽しみなタレントが揃っているだけに、もどかしさが残ったのは事実である。 もっともポジティブに考えれば、自分たちの現在地を改めて知ることができたとも言える。 「思いっ切りぶつかり、J1のチームにふたつ勝てたということは多少なりとも自信にもなったと思います。最後にこうやって明確に差を見せつけられた部分もありましたから、もちろんかなりショックな敗戦です。でもそうは言っても自分たちの力を思いっ切りぶつけたからこそ、差がより明確に分かると言いますか、そういうような良かった部分もあった、そういう大会だったと思います」 小林監督もここまでの天皇杯の戦いを総括する。 試合後のロッカールームには指揮官のメッセージが響き渡ったという。 「やっぱりこれがJ1との差。だからこそ本当に切り替えて次の大事な試合に向けて全員でやっていこう」 天皇杯で得た経験を活かすためにも、昇格へ望みをつなぐためにも、次の山口戦が何より大切になる。 取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)