戦国に名を馳せた海賊たちの夢の跡「しまなみ海道サイクリング」【vol.06 因島・村上水軍めぐり】
水軍の拠点の集落でお城の「お宝」を鑑賞する
白滝山からはもと来た道を豪快に下って行きます。ロータリーまで戻ったら北へ進み、激坂を登坂。そのまま白滝フラワーラインを走り、北展望台を経由して因島大橋のたもとまで下ったら、国道317号へ。小さな漁港がある大浜を経て、島の東側の海岸線沿いに走っていきます。道中には因島八景にも数えられている、大浜海岸と八重子島の景勝も。島の中ほどで内陸へと入っていき、中庄へと到着します。 中庄は因島村上水軍とのゆかりが深い地で、斜面には歴代の墓所がある菩提寺・金蓮寺の境内が広がっています。高台にそびえる、城郭の隅櫓を模した資料館は、因島水軍城。村上吉充の肖像画や、鎧の一種である白紫緋糸段縅腹巻、吉充が中国から持ち帰った涅槃図など、水軍にまつわる資料が展示されています。
海賊風お好み焼きでサイクリングのパワーチャージ
また中庄には名物「因島村上水軍焼」を味わえるお好み焼き店も。麺はうどん、具材には村上水軍が出陣の際に食べたと伝わる、タコが入るのが決まり。水軍の旗を立てて出されるのもユニークで、山登りや海岸沿いのハードなサイクリング後に、ここで水軍のパワーをチャージしていきましょう。 中庄からは国道317号で、山を越えながら島を東西に横断していきます。南側にそびえる青影山は、島のほぼ中央にそびえる標高275.7mの山。頂上付近の青蔭城跡は、南北朝期から戦国期にかけて約260年間に渡り、因島村上水軍の根拠となった城跡。現在も本丸跡や屋敷跡、堀切跡などの遺構が残されています。
水軍サイクリングの締めは海運と自転車の守護神詣で
生口島へ渡る生口橋のたもとへ出たら、島の西岸を南下。生名島を隔てる長崎瀬戸に沿って走り、すぐそばに亀島と鶴島が浮かぶあたりから、土生の市街へ入ります。市街地にある大山神社は、大三島の大山祇神社から分霊を勧請した社。因島村上水軍の守護神として崇敬された、海の守護神です。交通安全の神様でもあり、「自転車神社」との別名もあるように、サイクリストが道中の安全祈願で参拝していきます。
足をのばして水軍ゆかりのハードなロードにもトライ
土生は因島の中心市街地で、土生港からは三原や今治を結ぶ、旅客船が発着。背後にそびえる標高207mの天狗山には因島公園が広がり、因島村上水軍像が周辺の多島海を見渡すように立っています。 園内の「ホテルいんのしま」では、タコや海鮮を具材とした「水軍鍋」が名物(要予約)。因島村上水軍をめぐるサイクリングの締めくくりで、味わっていくのもおすすめです。ただし、「ホテルいんのしま」へは1.2km、標高差107mの健脚向けの登坂があるので要注意。 また中庄から土生へは、島の東海岸を走る県道366号を経由するルートも。「水軍スカイライン」との名称もあり、アップダウンとワインディングが続くハードなコースです。三ケ崎先端の地蔵鼻付近には、海の関所を置いたとされる、美可崎城跡が現存。因島村上水軍が覇者として活躍した海を、眺めながらのサイクリングも楽しめます。 【移動チャート】 三原港 →(20分 ※土生商船)★ → 重井西港 → (自転車15分 + 徒歩) → 馬神城跡 → (自転車35分 + 徒歩) → 白滝山 → 25分 → 因島水軍城 → 35分 → 大山神社 → 7分 → 土生港 →(42分 ※土生商船)★ → 三原港 ※「★」は船での移動
上村一真