「墓石」に振り回される日本経済 主要指標「家計調査」に見えた異常事態
日本の主要経済指標には国内総生産(GDP)、消費者物価指数(CPI)、家計調査、失業率などの雇用統計などが挙げられます。日本の経済状況を把握するため、海外でも重要視されています。 その重要な経済指標のひとつ「家計調査」がこのところ何やら不思議な結果を示しています。その結果が意味していることは? そして、この統計の集計、計算方法などの問題点について第一生命経済研究所の主任エコノミスト・藤代宏一さんが解説します。
謎の動きを示す中国経済指標 日本は大丈夫?
10月19日に発表された中国の実質国内総生産(GDP)成長率は前年比+6.7%となり、安定成長が確認されました。しかしながら、近年、中国の経済指標を巡っては様々な憶測が飛び交っていて、実際、多くのエコノミストが統計の正確性を疑問視しています。特にGDP統計は、その公表日が異常に早いこともあって「本当に計算しているのか?」という疑念が生じています。 このグラフの形状に違和感を覚える人も多いのではないでしょうか? というのも、2000年代前半まではギザギザが大きかったのですが、ここ数年は公表値が不可解に安定しているからです。これは中国当局が「安定成長に成功している」とのメッセージを発しているように感じられます。このように中国の経済指標については「当局が公表値をコントロールしているのでは?」との憶測が生じています。 翻って日本。中国のような“コントロール疑惑”こそ生じていませんが、一部の経済指標についてはその正確性が多くの専門家から疑問視されています。たとえば、以前の記事でも紹介した消費者物価統計における家賃があります。家賃の推計が不正確だと、それによって物価統計全体が歪められ、正しい政策の採用が困難になるとの問題意識です。日本はデフレ脱却が国策なので、物価統計に正確性が求められることは言うまでもありません。そのほかにも問題視されている経済指標があります。それはGDPの約6割を占める個人消費を計測する際に用いられる「家計調査」です。そこで今回は、この家計調査について解説したいと思います。