【モデル鈴木サチさん(45)】「第5子出産後の体のダメージは年齢のせいではありませんでした」|VERY
母親が全部やらなきゃいけないって誰が決めた?……自分だ!
――母15年目。その期間があれば、街も制度もまわりの人も変わる。サチさん自身もさまざまな子育て支援制度に助けられ、子どもがいる環境も、とりまく街も、人も徐々に優しく変化したことを実感しているそうです。けれど母になった当初は、“母はこうあるべき”という固定観念に囚われ、自分に負荷を課した結果、体を壊して入院をした経験も。それを機に1度離婚も経験しています。 「30歳で第一子を出産したときは毎日がとにかく必死で、子どもを置いて出かけるなんて、到底考えられませんでした。第二子出産後、久しぶりに友人たちとご飯へ出た夜、ある人から“よくお子さん置いて飲みにいけますね”って言われたんです。自分で決めて出かけたものの、どこかで罪悪感を感じていた私は帰りのタクシーで大号泣。お酒も相まって大泣きしながら帰宅した私に、当時の夫からかけられた言葉が悔しくてさらに号泣……周囲とも自分とも、一番戦っていたときかもしれません。」 ――今では考えられないルールを自分で作っては、首を絞めていたとサチさんは振り返ります。例えば、朝・夜ご飯は必ず週5で作る、平日はお菓子を食べさせないなど…。あるときそれまでのストレスが祟り、急性胃腸炎で入院。そんなときでも家族にうまく頼ることができなかった。 「今ならなぜ元夫にお願いしなかったのだろうと思えるのですが、当時は私がやらねば、母親がそばにいなければ、という気持ちでした。長女が6歳になるまではこの考えに囚われていましたね。退院後にふと、全部母親がやらなきゃいけないって誰が決めたんだっけ?……私じゃない!?と気がついて。やっぱりこのままではいけないと、離婚を決意。子どもたちとの生活を見直し、金曜日はなるべく仕事を入れないこと、そして、金曜の夜は子どもたちと早くお風呂に入ってリビングにお布団を敷いて、ポップコーンを食べながら金曜ロードショーを観るって決めたんです。今思い出しても、最高の時間でした。お布団の上でポップコーン!?とそれまでの私だったら目玉が飛び出ていたと思うけれど、子どもたちがすっごく楽しそうで。私は何に囚われていたんだろう…と反省しました。仕事もするし、外にも出る。母が楽しむ姿を見せながら、子どもと過ごすことはできる。第2子のときに、自分が納得のいく形で生活をシフトしたことが、今につながっていると思います。」 〈鈴木サチ〉 1979年生まれ、愛知県出身。モデルとしてファッション誌やイベントで活躍。ピラティス(STOTT PILATES®認定インストラクター)のスタジオを主宰し、自身もレッスンを開講している。お子さんは5人おり、長女14歳、長男12歳、次男5歳、三男2歳、四男7カ月。現在は、新たなパートナーとステップファミリーを築く。 撮影/堺 優史〈MOUSTACHE〉 取材・文/藤井そのこ