私大入学者の過半数を超える安易な「年内入試」、総合型選抜や学校推薦型選抜が広まる傾向への疑問符
■ 汎用力のある基礎学力を身につけたほうがいい理由 確かに総合型選抜は個々の高校単位でも、全国的な傾向でも増えている。だが、筆者はより多くの科目について着実な学力をつけておいたほうが大学進学後、社会に出てからも本人にとって有効だろうと考えている。 年内入試について、ある私学の校長と語り合ったことがあるが、その校長はこんな実態を明かしてくれた。 「難関大学の総合型選抜は学校のカリキュラムの一部を利用して突破できるものではありません。家庭環境から一般レベルを超えていないと難しいです。かといって、学校のカリキュラムでどうにかなる大学は、高1からそこを目指して勉強するほどの意味も感じません。 社会やビジネスで不確実性が高く、未来の予測が難しいVUCAの時代だからこそ、汎用性のある基礎学力をきちんとつけておいたほうがいいと私は考えています」 いま新聞を開くと「リスキリング(学び直し)」という用語が毎日のように登場しているが、こうした時代に巣立っていく学生たちなのだから、いろいろなことに関心を持つ好奇心や幅広い学力を有しておきたいところだ。
安田 理