中学受験に異変!「男子御三家」麻布が、渋渋・駒東に追い抜かれた「衝撃データ」の中身
今回の変動は“重大事件”
中学受験や進学事情に詳しい森上教育研究所の森上展安氏が解説する。 「受験業界の中には、今回の変動を“重大事件”とみる関係者もいます。その背景としては、今春の麻布の東大合格実績が芳しくなかった点がまずあげられます」 麻布の2024年3月の東大合格者数は55人。これは神奈川県の私立男子校・聖光学院(100人)や千葉県の私立共学校・渋谷教育学園幕張(64人)を下回っている。 同じ都内でいえば、トップ・開成の149人に大きく水をあけられているほか、海城(49人)、駒東(44人)、早稲田(43人)、渋渋(43人)よりも、やや多い数字だ。 年によって波があるとはいえ、最大で126人(1992年)、最近の2023年でも79人が東大に合格していた麻布にとって、今春の55名は“物足りない結果”だろう。これが2025年の中学受験にも大きく影響し、非常にシビアな下剋上を招いたというわけだ。 大手中学受験進学塾の講師が補足する。 「男子の御三家の場合、かつて東大合格者数70~80名を誇っていた武蔵の勢いが近年失われていたことについては、これまで指摘されてきた通りです(2024年は26人)。しかし、ここに来て麻布もか、と。 業界関係者に限らず、かつて中学受験を経験した親御さんにとっても、想像できなかった出来事だと思います」
「麻布」である必要がない?
麻布がナンバー2の座を明け渡した要因は、東大合格者数以外にもある。近年、受験生や保護者が学校を選ぶ際に重視しているとされる「医学部実績」も、勢力図の変化に影響している。前出の森上氏が指摘する。 「将来の見通しがなかなか立たない中で、医学部進学を目指す家庭が年々増えています。トップ3に食い込んだ駒東は東大44人に加え、医学部への進学率が高い。駒東とともに『新御三家』の一角をなす海城が近年伸びてきているのも、医学部実績が高いからです」 医学部を狙うなら「別に麻布である必要はない」「ほかの中学のほうがいい」と考える層が増えてきている。前出の進学塾講師によると、「授業スタイルの多様化」や「海外志向の風潮」も、麻布失速の理由にあげられるという。