高齢の親といずれ同居すべき? 伊藤比呂美さんのアドバイス「独居のほうが…」
第83回西日本文化賞社会文化部門で正賞を受賞した詩人の伊藤比呂美さん(69)が14日、福岡市で開催された記念講演会で、聴衆の悩みに答える「ライブ人生相談」を行いました。伊藤さんは「人生相談を始めて自分の書くものが変わってきた。この賞をいただいたのは人生相談への評価だと思っていたら、文学も合わせて評価してくださったとのことで、大変うれしい」と喜びを語りました。今回は西日本新聞の連載「比呂美の万事OK」の番外編として、会場での相談の一部を紹介します。(構成・山本孝子) 「ライブ人生相談 比呂美の万事OK」のポッドキャスト
Q 高齢の親といずれ同居すべきか
90代の父は持病があり、80代の母は軽い認知症。私は夫の死後、気の合うパートナーと暮らしています。親のどちらかが亡くなったら、パートナーと別れて親と同居したほうがいいでしょうか。 (60代女性)
A 親は独居で公的補助使って
パートナーってこれから20年は一緒にいられる可能性がありますよね。だったらその人を大切にしましょうよ。でも親にはできるだけのことをしないと後悔するので、独居させておいてできるだけのことをする。独居のほうが公的補助、訪問医療やヘルパーさんとかが使いやすくて、同居すると難しいんです。それに自分の時間を持っていたほうが楽だし、仕事は辞めないほうがいい。 私もそうで、米国から行ったり来たりしてました。父は「俺が今死んだら、死因は退屈だ」などとこぼしてました。電話するたびに同じことしか言わないんですね。面倒くさいなあと思ってたんですけど、電話しながら父の言葉を書き留めることにしたんです。すると、親の孤独や親が生きてるということがものすごく浮き上がってきて、積極的にかかわっていけるようになった。 親が死んだときは、もっとやってあげたらよかったという後悔はあるんですけど、すごい何かを得られます。大人になったな、いいものみせてもらったな、みたいな。私も得られました。最期は下の世話をさせてもらって、すばらしい経験でした。お勧めします。