ボーナスで厚生年金分が5万円も引かれていました。賞与が下がったりナシになったりしたら天引きはどうなりますか?
ボーナスから天引きされた厚生年金保険料の金額が予想外に大きくて、ショックを受けたことがある人は多いでしょう。「ボーナスのたびに一律で保険料を引かれるのか」と心配になる人もいるのではないでしょうか。 賞与に対する厚生年金保険料の金額は一律で決まっているのではなく、賞与の支給額にもとづいて決まります。本記事では、賞与に対する厚生年金保険料の計算の仕組みを説明するとともに、日本企業の賞与の支給状況をまとめました。
賞与が下がったりナシになったりすれば厚生年金保険料は下がる
賞与に対する厚生年金の保険料は、給与に対する分とは別に支給の度に計算されます。賞与がない場合、保険料は発生しません。賞与に対する保険料額の計算式は、次のとおりです。 賞与の保険料額=標準賞与額×保険料率 標準賞与額とは、税引き前の賞与の金額から千円未満の端数を切り捨てた金額です。実際の賞与額と標準賞与額の差額は千円未満のため、原則として賞与の増減にほぼ比例して厚生年金保険料も増減することとなります。 賞与から厚生年金保険料が約5万円天引きされているケースの標準賞与額を令和5年度の厚生年金保険料の保険料(従業員負担分)9.15%から逆算すると、54万6000円または54万7000円(実際の賞与額は54万6000~54万7999円)と計算できます。 なお、ここでいう「賞与」とは、労働の対償として支給されるもののうち年3回以下のものです。名目がボーナスや賞与でなくても、この条件に当てはまるものは賞与として計上されます。具体的には、次のようなものが賞与として扱われます。 ・賞与(役員賞与を含む) ・ボーナス ・期末手当 ・年末手当 ・夏季・冬季手当 ・勤勉手当 ・繁忙手当 ・もち代 ・年末一時金 ・上記のような名目で金銭でなく現物支給されるもの
賞与ナシの会社は約3割に上る
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、令和4年度に夏季賞与が支給された事業所の割合は66.8%、同じく冬季賞与が支給された割合は70.5%です。賞与が支給されていない事業所は意外と多く、全体の3割程度を占めています。 事業所の従業員規模が小さいほど賞与ナシの割合が高く、従業員30人未満の事業所では令和4年度夏季賞与の支給割合が6割強にとどまっています。なお、産業別の賞与の支給事業所数割合は、図表1のとおりです。 【図表1】