全国旅行業協会・二階会長が辞意を表明、「後任はしかるべき人に」、定時総会で
全国旅行業協会(ANTA)は2024年6月27日、第60回定時総会を開催した。ANTA会長の二階俊博衆議院議員は挨拶で、インバウンドを含む国内観光がV字回復を成し遂げた一方、貸切バスの運転手をはじめとする観光現場の人手不足やオーバーツーリズム、円安等の影響による海外旅行控えなどを「観光産業が直面する課題は、数多く残されている」と指摘。「今年度は観光産業の完全復活をテーマに、各種事業に取り組みたい」と力を込めた。 さらに「我が国が元気を取り戻すためには、観光産業の隆盛が不可欠」と観光の重要性を強調。その中核を担うのは地域に根差す旅行会社である全国のANTA会員であるとし、「業界を先導する役割を担う皆さんの奮起を、心から期待する」と出席者を鼓舞した。 一方、二階氏は総会からの退席時、すでに公言している次期衆議院選挙への不出馬の意向を口にし、「(ANTA会長の)後任はしかるべき人に」「新しい人を1日も早く」と辞意を表明。「側面からの協力は惜しまない」とも話した。辞任の時期は未定。二階氏は2023年に任期2年で会長に再選されており、次のANTA会長職の改選は2025年度だった。
3年ぶりに当期正味財産が黒字に
2023年度決算で、ANTAの正味財産(累積黒字)は13.6億円となり、4年ぶりに増加した。当期正味財産は、予算では2億円の赤字とみていたが、実際は240万円の黒字となった。少額ながら黒字化した要因の1つが、新規入会の増加。予算で想定した130社を大幅に上回る270社が入会し、入会金が予算よりも800万円以上増加した。270社の新規入会は、コロナ禍前と同水準だという。ただし、2023年度は退会も292社となり、前年より42社増加。2024年4月1日現在の正会員数は、前年から4社増の5374社となった。正会員数の増加は、2019年4月1日以来のこと。2024年度の新規入会社数は、200社を見込んでいる。 一方、収入が大幅に減少しているのが、観光庁長官の試験事務代行機関として実施している「国内旅行業務取扱管理者試験」による国家試験収入。2023年度の申込者数は1万515名で、約5000万円の赤字だった。ANTAでは同試験の受験料について、20年以上同額の5800円で実施していることから、今年度中に観光庁に値上げ申請をする予定だ。 なお、2023年度事業・決算報告と2024年度事業計画・予算は、原案通り承認された。
トラベルボイス編集部