日ハムが令和時代に挑戦しているメジャー流守備シフトが裏目に出て是非論が再燃
日ハムが導入している守備シフトが裏目に出た。日ハムは令和となった1日、メットライフドームで行われた西武戦に“ハム流のオープナー”堀を起用、6人の継投を使い7-2のスコアで逃げ切ったが、森に対する守備シフトが失敗、その是非論がファンの間で再燃した。 日ハムは2回無死から山川に12号ソロを浴び、続く5番・森の打席で守備シフトを敷いた。三塁の平沼が、三塁を空けて、二塁とショートの間へ移動。二塁の渡辺が一、二塁間の後方に動いて、二塁ベースと一塁ベースの間に3人を配置したのである。無理に引っ張らせる意図があったのか、オープナーで先発起用されていた左腕・堀の配球は、すべて外。追い込まれた森は外のボールに逆らわずに叩きつけた。大きなバウンドのゴロが無人の三塁方向へ。ショートの中島が、なんとかボールを止めたが、記録はショートの内野安打となった。 続く4回にも一死から走者のない場面で森に対して同じシフト。森は、また逆方向に流し打ったが、これはレフトフライとなった。残り2打席は、走者がいたためシフトは採用せず、四球とセンター前ヒット。ゲームには勝ったが、心理的な圧力をかけて森のバッティングを崩すという守備シフトのもう一つの狙いは成功しなかった。 日ハムは森に昨季、317、1本、12打点とカモにされている。それだけにデータにもとづいて引っ張られる右サイドを埋めて心理的な揺さぶりをかけようと、4月7日のゲームでは、三塁の浅間がレフトへ移動し、残りの3人の外野手が右中間をあけないように均等の距離で守る外野4人シフトを敷いた。森に対して3打席、この外野4人守備をやって、3のゼロ、2三振に抑えていたが、この日は、裏もかかれて逆効果となった。 日ハムは、この日、5回の栗山の打席でも守備シフトを採用して一、二塁間に人を配置した。西武戦だけでなく、他球団でも、オリックスの吉田正ら左の強打者に対して三塁手を動かして、一、二塁間を埋める大胆な守備シフトを積極的に採用している。 メジャーで「ディフェンシブ・シフト」と呼ばれる、この戦術はレイズの“策士”マドン監督が、レッドソックスの左の強打者、オルティス対策に外野に6人を配置するシフトを始めたことから広がり、その後、さらにデータ分析、採用が進んで一般化した。平均打率を下げるなどの結果にもつながっており、イチローの引退試合となったアスレチックスvsマリナーズの2試合でも、両チームが本場の守備シフトを披露して観客をどよめかせた。ただ、日本のプロ野球で、ここまで大胆に守備シフトを採用したのは、今季の日ハムが初めて。過去には、有名な王シフトがあったが、メジャーほど、ほとんどの打球を引っ張るようなパワーバッティングが全盛ではない日本では、逆をつかれるケースが十分に想定され、これまで本格的に採用されることはなかった。 西武・森の裏をつく守備シフト崩しで、この戦術の是非を巡る議論が再燃したが、今後、他球団の対策が目立つようになれば、さらにその議論が活発になるのかもしれない。