廃業寸前サウナが「西の聖地」に……名店「湯らっくす」から見た熊本地震後の8年
熊本ならではの要素が大事
「湯らっくす」がここまで支持されたのは、やはりコロナ以降のサウナブームのおかげだと思います。それまでもブームはありましたが、コロナを機に一気に拡大した感があります。テレビ東京系のドラマ「サ道」が最終回を含む2話連続で「湯らっくす」を取り上げてくださり、番組内で使われた称号「西の聖地」が定着したのも、名誉なことでした。 それにしても昨今の客層の急激な変化には驚きます。かつては50代以上が中心でしたが、今では10~20代がメインです。わずか数年で客層がガラッと変わるなんて初めてのこと。今の若者は飲み会で騒ぐより、お風呂屋さんで静かに「ととのう」方が楽しいようです。いわゆるデジタルデトックスを含め、パソコン仕事などで疲れた頭を癒やしに来ている人が多いと感じます。 他地域にもよく視察に行きますが、そのたびに感じるのが、土地に合ったやり方を選ぶべきだということです。たとえば昨年訪れた岐阜県には、織田信長がポルトガルの宣教師のすすめで薬草園を作らせたという逸話があり、薬草を使ったサウナが流行っているそうですが、それをそのまま熊本に持ってくるのはやはり違う。熊本とのつながり、「湯らっくす」ならではの要素を重要視しています。 (後略) 構成:髙松夕佳 西生吉孝(「湯らっくす」社長) 〔にしおよしたか〕 1968年熊本市生まれ。福岡市でヨガスタジオを経営するかたわら、2016年に「湯らっくす」を運営する共栄観光株式会社の代表取締役社長に就任。熊本地震後の2017年に同施設を大幅リニューアルし、サウナ界で「西の聖地」と呼ばれる観光名所的な人気店に育て上げた。