宇宙船「スターライナー」打ち上げ、5月21日に延期–初の有人飛行、宇宙飛行士をISSに輸送
米Boeingが開発、製造する有人宇宙船「Crew Space Transportation-100(CST-100) Starliner(スターライナー)」の打ち上げが米国時間5月21日に延期された。BoeingとLockheed Martinの合弁企業であるUnited Launch Alliance(ULA)のロケット「Atlas V」で米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍施設から打ち上げる。 Starlinerは4人乗りの宇宙船で、米航空宇宙局(NASA)との契約「商業乗員輸送プログラム(Commercial Crew Program:CCP)」として、宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に運ぶ(CCPは当初「商業乗員輸送開発(Commercial Crew Development:CCDev)」と呼ばれていた)。 2022年5月に打ち上げられた無人での2回目の軌道飛行試験(Orbital Flight Test 2:OFT-2)は、ISSへのドッキングに成功、地球への着陸も成功した。 今回の有人飛行試験(Crew Flight Test:CFT)は、NASAに所属する宇宙飛行士のSuni Williams氏とButch Wilmore氏をISSに送る(2人の宇宙飛行士はISSに約8日間滞在する予定)。しかし、Starlinerのサービスモジュールから少量のヘリウム漏れが検出されたことで、打ち上げは17日から21日に延期された。 Starlinerの打ち上げは当初5月6日に予定されていたが、ロケット上段のバルブから異音が発生したため、延期されていた。今回のヘリウム漏れについてBoeingは「NASAと問題に対処している」と述べている。 Starlinerには、3つのメインパラシュートが搭載されているが、そのうち、1つでも故障した場合、安全に着陸できなくなることが判明。配線の保護テープのカバーを変更し、火災の危険性を低減する必要があると指摘されるなど安全性が問題視され、CFTは2023年6月に無期延期となっていた。
塚本直樹