11月4日は「いい推しの日」、推し活トレンドは「神格化・スピリチュアル」? 老舗も推し活商材に参入
11月4日は「いい推しの日」。世の中は空前の「推し活」ブームだ。アイドル、歌手、俳優、アニメ、キャラクターなどを推しているのは、若者だけではない。今や中高年世代にも4人に1人が「推し」がいると言われる時代。「推し活」は単なる趣味を超え、「推し消費」の市場規模は8455億円に急成長(ビデオリサーチ調べ)。経済効果を生み出す一大市場へ発展している。 【写真】切なる思いが反映された「推し好き守り」 アクスタ(アクリルスタンド)や、ぬい(ぬいぐるみ)など「推し」の分身を愛でる人も多く、今年の9月末に「インテックス大阪」(大阪市住之江区)で3日間開催された『第一回推し活グッズEXPO【関西】』では、そのアクスタやぬいとの時間をより楽しく過ごすための商材などが多数展示されていた。 ◆主力商品とは毛色の異なる「推し活」商材に参入 会場内で、ひときわ輝きを放つブースを発見。金色に輝く神々しい神棚型ディスプレイにアクスタが飾られていて、とにかくまぶしい。創業120年以上の老舗金箔メーカー「カタニ産業」(石川県金沢市)だ。 前田利家公の時代から伝統をつなぎ、現在日本の金箔生産量の98%以上を占める金沢を本拠地に、金箔、銀箔など、貴金属箔に関わるあらゆる商材を取り扱う。しかしこれまで、金箔の用途の主なものというとやはり仏壇仏具。一見「推し活」とは全く無縁の企業のようだが・・・。 主要商品と全く異なる「推し活」に特化した商品を制作した経緯について、「アイドルやアニメキャラクターなどを『実は推してる』という社員が多数在籍していることがわかり、社内各部署で有志を募ってプロジェクトを立ち上げました。現在、もともと得意な金箔押しを活かした、さまざまな推し活関連商品の製造販売をしています」と担当者は話す。 本格木彫細工で細部まで本金加工された本格仕様の神棚には、扉をあけて推しのグッズを納められるなど、社内の推しがいるメンバーたちのアイデアを活かし、今回展示された、推しの尊さが止まらない神々しい商品ができあがった。 ありがたい神棚のおかげもあってか、来場者の反応も上々で「『全面金箔張り神棚型ディスプレイ』をイベント用でレンタルしたい』というお声など早速いただいた。展示3日間で想定を大きく上回る人数がブースに来てくださって、お渡ししていたサンプルの金箔カードがもうなくなりそう。金箔の原材料である金の価格は近年上昇傾向なので、値付けなども難しい部分があるが、今回いただいた反響が励みになる」と担当者は笑顔を見せた。 ◆コロナ禍のピンチをチャンスに!新たな設備を導入 先ほどの「全面金箔張り神棚型ディスプレイ」のキラキラとは真逆の、奥ゆかしい「推し活」グッズもある。「正文社印刷所」(岡山県笠岡市)は、文字がフォントごと切り取られたような、巧緻で美しいデザインが特徴の「文字のしおり」を展示。 「推しが尊い」等の推しへの思いを文字化したオリジナルしおりの製造販売のほか、阪神ファンの熱狂とあるあるをワードとした「文字の阪神ファンのしおり」、ももいろクローバーZの「文字のももクロのしおり」はじめ、多数のコラボ企画商品も手掛けてきた。 「このしおりの商品開発は、コロナ禍で印刷業が大ダメージを受け、非常に厳しい状況が続いたのがきっかけだった。新型コロナの給付金も活用して設備を整え、このしおりの量産体制を整えた。現在『文字のしおり』は推し活グッズとして、また各コラボレーショングッズとしても好評で、日本らしいお土産として海外の方からも人気がある」と担当者は話す。 この日のブースには常に多くの人が集まり、日本人のみならず、海外の方が多数ブースを訪れ、興味深そうにしおりを手にしていた。 ◆推し活最新トレンドは「神頼み」「スピリチュアル」 社員全員にそれぞれ「推し」がおり、推し活トレンドに詳しい推し活応援メディア『Oshicoco』の担当者は、「推しの神格化や、願掛け、スピリチュアル的な要素が、最新のトレンドです。『推しは神』と崇めるのはもちろん、『コンサートやイベントのチケット当選祈願』『推しの幸せや健康』『不祥事回避』などの願掛けを行うために神社に訪れるという行動も珍しくありません」と話す。 某アイドルグループ推しの同僚に聞くと「コンサートのチケット運を上げるのを目的に『得を積む』ためにゴミ拾いをしている」と話していた。「推し」が日々の生活の活力になって、「生きがい」という人も大勢いるが、このように「推し」のために善行をおこなう人が増えれば、いきいきと活力にあふれた平和な社会が実現しそうな気がする。