カップルが何組も生まれ…人気高まる「リゾートバイト」での人間関係の「リアル」
思わぬ臨時収入
ただ、石垣島のホテルのベルスタッフでは思わぬ臨時収入もあったのだとか。 「私が勤務したホテルは有名な超一流ホテルだったので、宿泊するお客様は富裕層ばかりでした。外国人のお客様も多かったため、ごく稀にですがチップをもらえることも。私は3000円もらえたのが最高額でしたが、同僚は1万円のチップをもらったと言っていましたね。 それと、リゾバ期間中に仲良くなったリゾバのツアーガイドの方は、バスの運転ができる人は1日プラス1000円、お客様に営業をかけて翌日もガイドの予約を取れたらもうプラス1000円というように、インセンティブが付くと話していました。なかにはインセンティブに注力して、1カ月のトータルで35万円稼いだという人もいたようです」(ナナさん)
さまざまな世代が集まる
ではリゾートバイトにやってくる人はどのような人が多いのだろうか。 「リゾバを経験する前は大学生ぐらいの20代前半が多いのかなと思っていたんですが、実際に働いてみると同世代の20代後半や30代の人も多く、なかには50代の男性もちらほら見かけました。意外だと思いますが、実は石垣島の観光業に現地の人はほぼおらず、ホテルや観光ガイドなどの従事者はリゾバで働きに来た人ばかりなんです。そのため年齢関係なく次第に仲良くなっていきました。 いろいろな人に話を聞いてみると、稼ぐことを目的とするよりも、『前職で精神を病んでしまって休息を兼ねてリゾバで働きにきた』というような事情を抱えた人が、かなり多かったのが印象的でしたね。同じような境遇の人が多いためか、結束感も生まれ、リゾバ同士のカップルも何組か誕生していました」(カオルさん)
一年中リゾバで生計を立てる人も
「実は私、まさに石垣島でのリゾバ中に彼氏ができたんです(笑)。彼氏は夏のシーズンには石垣島でツアーガイドをして、冬のシーズンには北海道や長野のスキー場でレストランの厨房などをしているそうで、一年中リゾバで生計を立てているようです。『ムーミン』のスナフキンのような旅人の生活スタイルを送る人は、リゾバ業界では意外と多いみたいですよ」(ナナさん) ――ただ単に稼ぐという目的だけでなく、ゆくゆくはその地に移住したい人がお試し期間として体験したり、人生の休息期間として経験したりする人も増えているリゾートバイト。働き方が多様化し、インバウンド客が増加する現代の日本において、今後リゾートバイトの需要はさらに増加していくかもしれない。 (取材・文=逢ヶ瀬十吾/A4studio)
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