トレンドのサファリ 「元祖」サンローランはカーゴパンツも優雅
■ワンピース編:気負わない しなやか大人サファリ
両胸にビッグポケットを配したサファリムードのワンピースは、前ファスナーを深めに開けてフェミニン感をアップ。膝が隠れる絶妙な丈感でレッグラインをシャープに見せています。 タイトめのシルエットが上下の好バランスを演出。しっかり巻いたベルトでウエストマークして「きちんと感」を添えました。幅広いシチュエーションになじみそうな装いです。全体をベージュ系でそろえて、気負わないしなやか大人サファリに仕上げました。
■シャツワンピース編:フェミニンであり「強さ」も
サファリやカーゴの表情を残しつつ、シャツワンピースを仕立てると、フェミニン感が程よくまじります。髪を覆うヘッドピースとの組み合わせはスポーティーでミステリアス。ドレス姿にアクティブ感を上乗せしました。 襟を立て、ウエストをベルトでマークし、「強さ」を引き立てています。足元はシャープなハイヒールでクールに見せて。行動力やタフ感を表現したいときに、サファリコーデは向いています。 ◇ ◇ ◇
■モード界の先駆者 常に女性をエンパワーメント
「モードの帝王」と呼ばれたイヴ・サンローランが1961年に創設したブランドは女性へのエンパワーメントを続けてきました。 今ではオフィス服の常識になったパンツスーツを広めたのは分かりやすい一例でしょう。透けるシアー服、クラシックなボウタイブラウスもサンローランが世に送り出しました。 アフリカに居を構えたサンローランはエスニック(民族調)テイストをモード界へ持ち込んだ先駆者でもあります。もともとはハンティングで男性が着ていたサファリルックをウィメンズの装いに持ち込みました。 2024年春夏のウィメンズコレクションでは、航空業界や自動車競技など、かつて男性のものとされていた分野にいち早く進出した女性たちから着想を得て、メンズ服を「読み替え」ています。 「サンローラン」のミューズ(イメージ源となる女性)はいつの時代も「芯の強い女性」です。他者にもたれかからないインディペンデントなキャラクター像を示すうえでサファリルックは絶好の選択肢になります。 動きやすさや暑さしのぎの面でも長所が多いから、この夏は「大人サファリ」デビューしてみませんか。 文・宮田理江(ファッションジャーナリスト)
宮田理江
トレンド情報や着こなし解説、コレクションリポート、スタイリング指南をメディアや個人サイトで幅広く発信。異なるテイストのミックスコーディネートが得意。自らのテレビ通販ブランドを持つ。ディレクション業務、イベント登壇もこなす。毎日ファッション大賞選考委員。 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。