2021年の流行語大賞 コロナの影の中「リアル二刀流」「ゴン攻め」など五輪・スポーツ関連並ぶ
今年を象徴する言葉を選ぶ「2021 ユーキャン新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」選)が1日、発表された。年間大賞には、米大リーグでア・リーグMVPを受賞したエンゼルスの大谷翔平選手の活躍ぶりを表現した「リアル二刀流/ショータイム」が選ばれたほか、トップテンには「スギムライジング」「ゴン攻め/ビッタビタ」「ぼったくり男爵」など、東京五輪・パラリンピック関連の言葉が並んだ。 【動画】2021年「新語・流行語」 年間大賞は「リアル二刀流/ショータイム」
五輪のテレビ実況から生まれた「ゴン攻め」
「スギムライジング」は、東京パラリンピックのボッチャ競技で金メダルを獲得した杉村英孝選手の技の名前。白いボールに自分たちのボールをいかに近づけるかを競うこの競技で、杉村選手は精密なコントロールで密集したボールの上に、自分の投げたボールを乗り上げる高度な技術を披露した。
表彰式には、杉村選手本人が出席。「ボッチャは共生社会を体現できる象徴的なスポーツとして、多くの方に楽しんでいただきたいと思いますし、その際はスギムライジングにも挑戦してもらいたい」と語った。 東京オリンピック関連では、「ゴン攻め/ビッタビタ」がランクインした。スケートボード競技のテレビ中継時に飛び出した言葉で、「ゴン攻め」は階段などの難所を積極果敢に攻めること、「ビッタビタ」は狙い通りの場所にボードをコントロールすることを指す。これらの言葉を使ってスケーターの技を分かりやすく解説したプロスケートボーダーの瀬尻稜(りょう)氏が受賞した。 表彰式には、所属する会社の仁平(にひら)みどり社長が代理で出席。司会者が代読した瀬尻氏の受賞コメントには、「自分なりに自然体で話していただけで、まさかこんなにも反響をいただけるなんて思ってもいませんでした」と率直な驚きが記されていた。壇上で、仁平社長は普段の瀬尻氏について「飾らない言葉で、人を素直に褒められる人」と評していた。
バッハ会長をやゆした「ぼったくり男爵」
IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長をやゆした「ぼったくり男爵」という言葉もトップテン入り。共同通信社の外信部が受賞した。東京五輪開催を推し進めるIOCを批判した米ワシントンポストのコラムの紹介記事を書く際に、コラム中にあった「Baron Von Ripper-off」という表現を「ぼったくり男爵」と和訳したもの。 表彰式に出席した同部の渕野新一副部長は、「ワシントン支局の同僚がゴロよくうまい具合に訳してくれました。五輪開催をめぐってもやもやした気分を抱いていた日本の人たちの心に響いたのかなと思います」と話していた。 年間大賞には、大谷選手の前人未到の活躍ぶりを讃えた「リアル二刀流/ショータイム」が輝いた。投手として9勝を記録、打者としては46本の本塁打を放ち、本塁打王のタイトルこそ逃したが、日本人として2人目となるリーグMVPに選出された。表彰式に大谷選手は出席せず、受賞コメントの代読もなかった。 今年の選考について、選考委員の姜尚中(カン・サンジュン)氏(東京大学名誉教授)は、「コロナの影がまだ尾を引いていて、生きのいい言葉がなかった。全体としてくすんだ印象だったが、大谷さんの活躍もあって、その中で何か新しいもの、明るいものを求めているようなものも感じました」と振り返った。
トップテンに選ばれた新語・流行語
トップテンは以下の通り(◎は年間大賞)。 ●ジェンダー平等 ●うっせぇわ ●親ガチャ ●ゴン攻め/ビッタビタ ●人流 ●スギムライジング ●Z世代 ●ぼったくり男爵 ●黙食 ◎リアル二刀流/ショータイム (取材・文:具志堅浩二)