鳥貴族バイト店員の「一言」に超感動した…中国の外食チェーン社長80人が大挙して日本の居酒屋を視察したワケ
■海外で一から身を起こし… 実は、筆者も簡単なプレゼンを依頼されていた。都内に急増するガチ中華を発掘し、珍しいご当地料理を楽しむSNSコミュニティ「東京ディープチャイナ研究会」の代表を務めていることもあり、中国語圏出身オーナーによる飲食店の内情に精通していたからだ。 プレゼンのテーマは「日本人の目から見た味坊の魅力」というもので、同集団がいかに日本人客の取り込みに成功したかを解説した。(参考記事:「『ガチ中華』を代表する味坊・梁さんが愛されキャラとなった秘密」、中村正人、Forbes JAPAN 2023.02.23) これまで5日6泊のスケジュールで、ワタミや鳥貴族などの日本の有名飲食チェーンを視察してきたCEOたちに、粱氏のプレゼンは大いに好評だったようだ。同胞のひとりとして海外で一から身を起こし、多くの日本人に愛される飲食グループを率いるに至った粱氏は、CEOたちにとっても尊敬に値する存在に見えたのだろう。 プレゼンの後、粱氏は筆者にこう話した。「彼らは中国で飲食店を大規模展開している若きオーナーたちで、自分より成功者といえる。そんな彼らが、自分の話を喜んで聞いてくれたことはうれしかった」 ■数百店規模のチェーンを率いる30代~40代の経営者 今回の視察ツアーは、船井(上海)商務信息咨詢有限公司が企画主催した「船井会員企業 2024董事長日本游学(船井会員企業 2024年CEO日本スタディツアー)」というものだ。 参加者の多くは新興ローカル飲食チェーンの代表で、7割が30代から40代だという。飲食業界に限った話ではないが、中国企業の経営陣は日本企業のそれに比べ圧倒的に若い。その中心となるのは、「80后世代(1980年代生まれ)」や「90后世代(90年代生まれ)」と呼ばれる、中国の中でも起業家精神に富んだ世代の人々だ。 北京や上海、深圳などの経済先進地域だけでなく、大連、西安、蘭州、フフホト、昆明、海口などの地方都市に本社を置く企業が多いことも特徴だ。業種も中国地方料理に限らず、タイ料理や西洋料理、ファストフードなど業態もさまざまで、出店数も数百店規模の各地のトップ企業といえる。