9月の基本給が32年ぶりの高い伸び、日銀利上げ観測の支えに
物価の変動を反映させた9月の実質賃金は前年比0.1%減と、前月(0.8%減)からマイナス幅が縮小した。市場予想は0.1%増だった。実質賃金の算出に用いる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が9月に前年比2.9%上昇と、政府による電気・ガス代補助金の再開で5カ月ぶりの低い伸びとなったことが影響した。
武田氏は、物価の伸びがいったん収まっており、「実質賃金は10月にプラスになってもおかしくない」と指摘。さらに12月のボーナスシーズンで特別給与が今年の冬もプラスになると予想されることから、「賃金は実質ではっきりプラスになってくる」との見方を示した。
今年33年ぶりの高水準の賃上げを実現した連合は10月、25年春闘の基本構想で今年と同じ水準の「5%以上」を目指す方針を発表。11月6日には中小企業が7割を占める産業別労働組合のUAゼンセンが25年春闘で正社員とパートなどを合わせた全体の賃上げ目標を「6%基準」とする方針を示した。持続的な賃金上昇には大企業のみならず中小企業の底上げが鍵を握る。
物価上昇を上回る賃上げの実現を目指す石破茂首相は、課題である労務費の価格転嫁を徹底するため、各業界における実態調査と結果に基づく改善を年内に完了するよう所管省庁に求めた。価格転嫁の環境整備の観点から法改正の早期実現を目指す考えも示している。
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Keiko Ujikane