【家族のかたち】「親の熟年離婚は苦しかった」離婚後の両親の関係がいい方向に変わった要因とは~その2~
両親は良き相談相手になっていた
両親の協力もあり、円佳さんは無事女の子を出産。出産後には母親は円佳さんの近所に引っ越しをしてきてまで子育てを手伝ってくれ、そのおかげで円佳さんは仕事をまた始めることもできたという。 「母親の職場も都心寄りにあったのでちょうどいいからと、歩いて10分ほどの距離のところに引っ越しをしてきてくれました。夫の両親は新幹線を使わないといけない距離で頼ることもできなかったので、本当に助かりました。 母親は私の夫に申し訳ないからと、決して私たちの家に長居はしませんでした。『妻の親がでしゃばったら夫婦仲は悪くなるから』と、自分のことを教訓にしているような発言をしてきて、こっちは苦笑い。そんなことを発言できるぐらい、母親の中では結婚していたことは過去のものなんだな~としみじみ思いました」 現在、父親は仕事を引退して、円佳さんの住まいの近くのアパートで1人暮らしをしている。実家を手放し、近場に引っ越してきた理由は、円佳さんの母親の助言があったからだという。 「実家は持ち家でしたが、4LDKもあり、1人で暮らすには部屋を持て余していました。父親の仕事先からも遠かったのに、頑なにその家での生活を続けていたんです。でも、家のメンテナンスにかなりの額がかかることになって、手放したと言います。そのときに相談した相手が元妻、私の母親だったんです。 両親は決して円満離婚ではなかったのに、今ではたまに食事を一緒にしているそうです。こんな関係になれることもあるんですね」 一般的に女性のほうが気持ちの切り替えが早いと言われている。円佳さんの母親は結婚生活を続ける中でずっと離婚をしたいと思っていた。そして離婚したいという願いはかなった。かなったことで、過去のわだかまりもリセットされたのではないだろうか。同僚だった過去を持つ2人が、長い年月を経て、友人関係になるのも不思議ではないのかもしれない。 取材・文/ふじのあやこ 情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
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