「103万円の壁」引き上げ 企業の9割超が賛成、約6割の企業は「130万円の壁」見直しも期待
Q1.所得税非課税の上限年収である「103万円の壁」の解消に向けた動きが活発です。貴社は解消への動きに賛成ですか?反対ですか?(単一回答)
大企業・中小企業ともに賛成が9割超 「103万円の壁」解消について、賛成が91.3%(5,726社中、5,232社)に対し、反対は8.6%(494社)で、9割超の企業が賛成と回答した。 規模別では、賛成が大企業95.5%(468社中、447社)、中小企業91.0%(5,258社中、4,785社)で、いずれも「賛成」が9割を超えた。大企業が中小企業を4.5ポイント上回った。 反対は大企業が4.4%(21社)と5%に届かず、中小企業も8.9%(473社)にとどまった。企業規模が大きいほど、人手不足の解消に期待を寄せているようだ。 賛成と回答した企業の産業別では、金融・保険業が94.4%(72社中、68社)で最も高い。次いで、卸売業93.1%(1,080社中、1,006社)が続く。 一方、賛成が最も低い小売業87.2%(297社中、259社)と建設業89.3%(845社中、755社)は9割を切った。 両産業とも、中小企業の構成比が他の産業より高かった。中小企業は価格転嫁によるコスト吸収が難しく、「103万円の壁」解消による短時間労働者の人手確保だけでは、経営課題の解決に足りないと考えているようだ。
Q2.「賛成」の理由は何ですか?(複数回答)
「人手不足の緩和」が7割超 世帯年収増加による購買力増加にも期待 「103万円の壁」解消に賛成と回答した企業に理由を聞いた。5,156社から回答を得た。 「賛成」の最高は、「働き控えが解消され、人手不足が緩和する」の74.4%(3,838社)だった。規模別では、大企業が76.4%(441社中、337社)で、中小企業74.2%(4,715社中、3,501社)を2.2ポイント上回った。 次いで、「従業員の年収増加によるモチベーションアップが期待できる」が34.2%(1,766社)で続く。大企業が37.1%(164社)に対し、中小企業は33.9%(1,602社)で、3.2ポイントの差がつき、最も格差が大きかった。 3位は、「世間の世帯年収増加による販売(サービス提供)の増加に期待」の30.1%(1,554社)が続いた。産業別では、小売業43.3%(254社中、110社)が最高で、不動産業43.2%(171社中、74社)と2産業が4割超だった。 この他、「働き控えをしていた従業員に高度・責任ある仕事を任せられる」が27.8%(1,438社)、「就業時間数の増加による習熟度・スキルアップが期待できる」が23.7%(1,223社)でともに2割を超えた。労働の質が高まり、生産性向上を期待する意見もみられた。