ANA貨物上屋には大量の怪力ロボがうごめいていて、もはや未来しかない
成田空港にオープンしたANAの新貨物上屋「ANA Cargo Base +」には自動で動作する無人搬送フォークリフト(AGF)がいっぱい。一見するとロボット掃除機のような筐体ですが、なんと1台で1トンの荷物を持ち上げて搬送できるパワフルロボット。空港ハンドリングにAGFを導入したのは、ANA Cargo Base +が世界初です。 【もっと写真を見る】
ANAは2024年10月より成田空港に新しい貨物上屋「ANA Cargo Base +」の稼働をスタートしました。この新貨物上屋、約4万8000平方メートルへ国内最大規模の広さも特徴ですが、なんといっても、大量のロボットを導入して、無人化をすすめているのが大きなポイントです。 施設内でのオペレーション効率化を図って導入されたのは、「無人搬送車(AGV)」と「無人搬送フォークリフト」。空港ハンドリングにAGFを導入したのは、ANA Cargo Base +が世界初。さらに複数の無人搬送フォークリフトと自動高層ラックの組み合わせは、空港だけでなくそのほかの倉庫も含めて国内初とのこと。 ●貨物上屋ってそもそもどんなもの? ちなみに貨物上屋とは、輸出入を行う際に貨物の一時保管や荷さばきを行う施設。輸出品をコンテナに積み込んだり、逆にコンテナから取り出した輸入品を一時保管して、必要なタイミングで引き取りに来たトラックに渡すといった作業をしています。 成田空港でANAが利用していた貨物上屋はこれまで6ヵ所と分散しており、引き取りのトラックがそれぞれの貨物上屋まで行く必要があるなど、効率の良いオペレーションができない状態でした。それが今回、第7貨物ビルに隣接する場所に新たに第8貨物ビルを増設し、「ANA Cargo Base +」としてひとつの施設として利用することで、オペレーションの効率化が図れるわけです。 ●軽々と1トンの荷物を持ち運ぶ無人搬送車が60台も導入! 無人搬送車(AGV)は一見するとロボット掃除機のような筐体ですが、なんと1台で1トンの荷物を持ち上げて搬送できるパワフルロボットなんです。 このパワフルなロボットを、合計60台も輸出エリアに配備。フォークリフトで運んできた荷物を特定のエリアにセットされた専用のパレットに置いて、専用端末でパレットのQRコードを読み込み荷物のデータを送ると、自動で無人搬送車がやってきて、そのパレットを持ち上げ所定の保管場所まで自動で運んでいきます(写真やテキストではなかなか伝わりにくいので、ぜひ動画も観てみてください!)。 続いて、ほかの無人搬送車が、空のパレットを特定のエリアに持って来て補充します。 コンテナに積み込むときは、同じように専用端末でピックアップポイントのQRコードを読み込み、荷物のデータを送ると、無人搬送車が保管場所へ向かって、パレットを持ち上げながら持って来てくれます。 あとはフォークリフトで荷物をピックアップしてコンテナへ積み込むだけ。空になったパレットは、やはり無人搬送車が持って帰ってくれるので、ピックアップ場所にパレットがたまるということもありません。この作業を60台が常に動いて作業しており、輸出エリアの保管場所はほぼ無人。せっせとけなげに働くロボットの姿は壮観です。 フォークリフトでの「持ち込み」と、「ピックアップ」は人力です。ただ、これまではフォークリフトで保管場所まで運んで、保管場所を探したりする手間がかかっていたわけで、この作業がなくなるだけでもかなり効率化されるというわけです。 ●保管場所へとゴリゴリ運んでくれる また輸入エリアでは5台の無人搬送フォークリフト(AGF)が稼働しています。こちらは、荷物の保管場所が自動車の立体駐車場のような自動高層ラックになっているのですが、無人搬送フォークリフトと連携して、荷物の収納や取り出しが自動でできるようになっています。 一般的には目にする機会のない施設ですが、海外へ航空貨物を送る際、「あの無人搬送車が持ち上げて運んでくれるかも」と想像すると、ちょっとワクワクしませんか? この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama) 世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。 「旅人ITライターさとる」(IT系メイン) 「さとる・たべる・あそぶ」(旅行・エンタメ系メイン) 文● 中山智 編集●こーのス/ASCII