五輪メダリスト・末續慎吾さんのプレッシャーとの向き合い方。一度やめたことで見えてきたもの
「でも結局1週間と持たずに走り始めました。それで結局、競技に対してモチベーションを高めることができなかっただけで、走ることそのものは好きなんだと実感したんです」。 そして2011年、末續さんは3年ぶりにレースに復帰。今も選手として走り続けている。 「練習に行っても走りたくないときは、そのまま走らずに帰ってくることもありますよ。僕が思うのは、みんなモチベーション信者になりすぎているんじゃないかということです」。 筋トレでもダイエットでもモチベーションが重要と思いがちだが、思うようにいかないときは手放してみるという選択肢もあることを知っておこう。
きちんと準備をしてきたことを信じるのみ
最近はメンタルトレーニングを取り入れているアスリートも多いが、末續さんはどのようにメンタルコントロールをしているのか。
「エビデンスではないんですけど、自分のやってきたこと、事実を出して暗示をかけていくという作業ですね。 例えば、本番になって力が出ない人。これは試合とか大会とか、色々なバイアスがかかって、自分を矮小化したり、雰囲気に飲み込まれてしまっているんだと思うんです。練習や準備をきちんと積んできたのであれば、自分が蒔いた種を刈り取っていくだけだと客観的に考える。そうすれば実力を発揮できると思います」。 ◇ 緊張やプレッシャー、モチベーションなど、色々な感情に翻弄されがちという人は、末續さんのメンタル術を取り入れてみてはいかがだろうか。 三浦安間=写真 林田順子=取材・文
OCEANS編集部