「掃除の時間まで残って食べた」「涙目で飲み込んだ」 給食の完食指導、その後の会食恐怖症に 広がった共感
「私も経験ある」「PTSDを発症」
学校給食や外食など他人との食事に不安を感じ、その不安を避けようとするあまり、人間関係や仕事に支障が出る「会食恐怖症」。県内の保育園の給食で厳しい指導を受け、長く悩んできた大学生の桜子さん(21)=仮名=の体験を8月20日付の信濃毎日新聞朝刊と信濃毎日新聞デジタルで伝えたところ、大きな反響があった。記事が掲載されたヤフーニュースには2700件余のコメントが寄せられ、「私も経験があります」などと共感が広がった。本紙「声のチカラ」(コエチカ)にも息子が苦しんでいるという県外の母親が声を寄せた。 【写真】「完食指導」により会食恐怖症に苦しんだ経験を語る桜子さん
強いられた「絶対完食」に多数のコメント
桜子さんは、県内の子どもや若者を取り巻く状況を見つめた「2024長野の子ども白書」に自身の体験を執筆。本紙記者が桜子さんに取材した。桜子さんが通っていた保育園は給食の「絶対完食」を掲げ、時間内に完食できないことが多かった桜子さんに保育士はみんなの前で謝罪を求めた。以来、他人と食事をすることが困難になり、大学入学後も苦しんだ。
ヤフーニュースでは、こうした給食の「完食指導」に注目が集まった。コメント欄には精神科医や教育関係者から「人権に関わる大問題であり虐待」「最近の学校ではほぼ聞かなくなった」といった指摘があり、桜子さんと同様の体験をした人からは「毎日吐き気と戦いながら涙目で飲み込んだ」「給食を掃除の時間まで残って食べさせられた」といった投稿が多く寄せられた。大人になっても会食が苦手なまま―との声もあった。
「もったいない」「生産者や作ってくれた人に失礼」といった書き込みも少なくなく、教育現場では食べようと思っても食べられない人がいることと、食べ物の大切さの両方を教えることが必要―とする意見も。「苦手な物は得意な友人に食べてもらう」「食べられる量だけ配膳してもらう」といった解決策を挙げる人もいた。
ウェブで記事を読み、コエチカにLINE(ライン)で意見を寄せた宮崎県小林市の母親(48)は取材に対し、現在中学1年生の息子が幼稚園の給食で受けた厳しい指導がきっかけで、今も人前で食事ができない―と語った。