「スピード感や迫力はドイツとは違う」それでも瞬く間に英名門の中軸に!“最注目”の日本人MFを同僚や現地サポは信頼。指揮官も賛辞「いてくれて本当に嬉しい」【現地発】
チームメイトはボールを奪取するとすぐに22番を探す
4人で構成されるバックラインの前に入り、定位置となったアンカーのポジションからゲームを組み立て、チームメイトはボールを奪取するとすぐに22番を探していた。一たびボールを受ければ、厳しいマークとタイトなスペースでも上手にキープしつつ、味方のポジションを把握してタイミングよくパスを出して好機を演出していた。 守備でも鋭い危機察知能力を発揮し、敵の攻撃の芽を潰して、当たりの強い選手が揃うミルウォールの荒くれ軍団に負けないフィジカルで応戦する場面も垣間見れた。前半だけを見ればリーズのベストプレーヤーは、贔屓目なしでこの日本代表MFだった。 しかし同40分に失点を許してハーフタイムを迎えると、後半は潮目が大きく変わる。序盤こそ前半同様にリーズ優勢だったものの、その後は人数をかけて厚くした相手の堅固な守備を崩せずに、ミルウォールペースで試合は進んだ。同時に田中の存在感は瞬く間に薄れていった。 特に、中央から崩せないと認識したダニエル・ファルケ監督がワイドエリアからの攻撃を多用する戦術に移行した後は、田中のストロングポイントである攻撃での貢献はほぼ皆無となっていった。 結果的に守備の局面でのみボールに触れる場面が増え、さらに言えば、終盤になって疲れが出てきくると、敵の素早い詰めやプレッシャーに耐えられずにボールロストも頻繁になった。 90分間を通した総合的なプレーから判断して、地元紙「ヨークシャーイブニングポスト」は及第点の「6点」を与えている。妥当な評価と言える一方、負けたことも加味してあえて厳しめの採点なら「5点」にされてもおかしくないパフォーマンスだった。 ともあれ、後半はイングランド2部「チャンピンシップ」の洗礼を浴びたが、前半は力を発揮していたのは確か。本格的にチームに合流してわずか2か月足らずで、名門クラブの中軸に成長しているのである。 「敵地で負けた後、特に長距離の移動がある場合は選手を出さない」というクラブの方針により、この試合後には田中の囲み取材はさせてもらえなかった。 しかしカーディフ戦後に同リーグの特徴でもあるフィジカルな肉弾戦について、「もちろんスピード感とか迫力とかはドイツとはちょっと違うなというのはあります。フィジカル的な部分をよりまたここで向上させる必要があるのかなと思う」と話していたが、この夜の一戦、特に途中までは対等以上な戦いをしていた。 「必然的にやっぱり上に行くにはそこは必要だろうと思いますし、別にどこに行ってもある程度というか、自分が求めている中で、フィジカリティというのは必要だと思う。そこは常日頃からやらなきゃいけない」 そう話していたとおり、フィジカルの向上は自身の課題の一つと考えているが、現時点ではそれもクリアし始めていると判断していいだろう。
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