「”春っぽい”という表現が紛れもなく素敵だった」と夏井いつきさん 「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」文部科学大臣賞作品を評する
「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」の文部科学大臣賞に、福岡県福岡市の川崎智美さんの作品「二億年の地層の春っぽい部分」、金子兜太賞には、千葉県市川市の菱木あかねさんの作品「ランドセル暴れる文豪つめこんで」が選ばれた。 「お~いお茶新俳句大賞」は、1989(平成元)年にスタートし、季語や定型にこだわらず、日常の暮らしの中で感じたことや思ったことを五・七・五のリズムにのせて自由に表現する日本一の創作俳句コンテスト。 優秀作品が緑茶飲料「お~いお茶」のパッケージに掲載されことでもユニークさを保っている。 35回目となる今回の新俳句大賞には、約51万人から約189万句(累計4550万句)の応募があった。 昨年11月から今年2月までの応募作品を「小学生の部」「中学生の部」「高校生の部」「一般の部A」「一般の部B」「英語俳句の部」「新俳句フォトの部」の7部門に分け、11人の審査員が入賞作品を選考した。 文部科学大臣賞に選ばれた川崎さんは、子育てしながら働くワーキングウーマンで、通勤や休憩時間を使って創作。 作品の「二億年の地層の春っぽい部分」は、「恐竜研究者の講演で地層の面白さ、奥深さを知り、地層の中にも春を感じるような部分があると思っていれば、何かが発掘できるはずだ」という気持ちを表現したと言う。 本庄周介副社長から賞金、副賞が贈呈され、「人生の中で最も大きな賞を頂き、嬉しい気持ちでいっぱいだ」と喜びの言葉を述べた。
選評の中で俳人の夏井いつき審査員は「”春っぽい”という表現が紛れもなく素敵だった。2億5000万年前に命が絶滅したが、クラゲやシーラカンスなど数パーセントの生き物は生き残り、その後、命の春が動きだした。”春っぽい”という表現が2億年前と今をつないでいるようだ」と評した。 今回の新俳句には高校生や40歳未満(一般の部)、英語俳句が伸びる中で、学校単位の応募が増えたことが特徴的。 11月から第36回の募集を開始するが、次回は日本語と英語による俳句出張授業の開催や、一般の部では動画と俳句を組合わせた部門の新設も検討している。