京都大右腕 阪神2軍との“ドラフトテスト”に負けたけど合格?
阪神の2軍と京都大野球部のプロアマ交流試合が23日、兵庫県西宮の鳴尾浜球場で行われ、阪神2軍が6-0で貫禄の勝利をしたが、注目は京大初のプロ選手誕生として話題を集めている田中英祐投手。緊張した立ち上がりの1、2回に続けざまに5失点したが、3回以降は変化球主体のピッチングに切り替え5奪三振を奪うなど1失点と立ち直った。京大生らしいクレバーさとMAX148キロのストレートの魅力をネット裏を陣取った各球団のスカウト陣は絶賛。特に“ドラフトテスト”の舞台を用意した阪神は、獲得に熱心で「将来はフロントの幹部候補生としてでも」と熱いラブコールを送った。 ◇ ◇ その瞬間、阪神ベンチとネット裏ブースにいた中村勝広GM、佐野スカウト部長らのフロント幹部が、そろって声を挙げた。先頭の荒木を145キロのストレートでサードゴロに打ち取り、2番、北條の打席で148キロが表示されたのだ。「腕の振りがいい。あれを見たとき、やられると思った」とは、平田2軍監督の回顧。 二死一塁から打席に立った4番、西田の打球は、レフトの頭上を襲う。京大のレフト、前川は、そのプロの伸びのある打球に対応できずに先制のタイムリー二塁打となってしまったが、プロのレフトならば、アウトにできる打球。打った本人、西田も、田中のストレートの球威に驚きを隠せなかった。 「思っていた以上に真っ直ぐが速かった。あれもセンター方向を狙っていたのに差し込まれてしまった。とにかく腕が振れてくるので、ストレートと変化球の見分けがつかずに打ち辛い。三振したのはフォーク。腕を振ってくるので戸惑った。コーナーにビシビシっというコントロールはないが、あの適当に荒れるアバウトさが、嫌な感じがあった。特によかったのはカットボール。いいピッチャーだと思う」。 西田は4の1。七回の最後の打席は鋭く落ちるフォークに手が出て三球三振だった。二回には足を絡められて小豆畑、横田、荒木、北條に4連打を浴びて4失点した。初めてのプロとの対戦、観戦無料で満員札止めとなったスタンド。普段の関西学生リーグでは見られないような報道陣の数……。特別な緊張と力みが、京大右腕を狂わせたとしても不思議ではなかった。だが、3回からは、ストレート中心主義を捨て、変化球主体へガラっと配球パターンを変える。 「真っ直ぐが走っていたので押し切れるという印象もあって(1、2回は)単調になっていました。雰囲気が違い緊張もありました。キャッチャーと『切り替えていこう』と話をして変化球を多目にパターンを変えました。フォークが良かったので、結果的にはフォークが多くなりましたが。後半はストレートもスピードよりコントロールを意識しました」。田中らしい京大頭脳の本領発揮である。