ドジャース大谷の「巨額年俸後払い」で税金問題が勃発 何が問題なのか
ドジャースに移籍した大谷翔平選手の契約をめぐり、税金の観点から注目が集まっている。 報道によると、大谷選手は、10年総額7億ドル(約1015億円)の巨額契約を結んでいるが、そのうち97%にあたる6億8000万ドル(約986億円)は、11年以降に後払いされるという特殊な契約になっている。 これに対して、ドジャースの本拠地があるカリフォルニア州の会計検査官が「税制に著しい不均衡が生まれている」との声明を発表し、議会に是正の要請するとの意向がロサンゼルスタイムズ紙で報じられた。年俸繰り延べに合理的な上限がないことへの対応などを求めているそうだ。 カリフォルニア州は税率が高い州であるため、大谷選手が11年目以降に同州を離れてしまえば、税収を失う懸念があるという。 11年目にカリフォルニア州から他の州に移った場合、税金にどれくらいの違いが出てくるのだろうか。福留聡税理士に聞いた。 ●他の州に移住すると140億円程度、税金が減る可能性 前提として、独身でカリフォルニア州に在住しており、年俸=事業利益=課税所得と仮定して米国所得税を算定します。 米国在住183日以上で米国所得税の申告義務者になります。なお、カリフォルニア州は住んでいる間の所得全てに対して州税がかかります。 2024年の米国個人所得税の連邦税は最大37%、カリフォルニア州税は最大で14.4%とされており、他に日本でいう社会保険料となる米国の医療保険制度のソーシャルセキュリティー税、メディケア税、傷害保険等で合わせると55%程度かかります。 米国の医療保険制度のソーシャルセキュリティー税、メディケア税、傷害保険等は無視して個人所得税に限定して考えると、連邦税はどこの州でも同じになりますので、11年目にカリフォルニア州から他の州に移った場合、州税のみ異なることになります。 カリフォルニア州税は、11年目以降の6億8000万ドルに14.4%を乗じると、9,792ドルになり、1ドル145円くらいのため、141億9,840万円になります。 州税の税率は州により異なりますが、アラスカ、フロリダ、ネバダ、サウスダコタ、テネシー、テキサス、ワシントン、ワイオミングの7州は現行では州所得税が課されていない州であり、これの州に移動すると州税は0円になり、最大で9,792ドル、現行の日本円換算で141億9,840万円の差異が生じます。 【取材協力税理士】 福留 聡 (日本・米国ワシントン州)公認会計士、(日本・米国)税理士、公認不正検査士、行政書士 監査法人で上場企業の監査業務等を経験後、IPO支援、決算支援、IFRS導入支援、日米の法人の税務顧問等を行っている。本、雑誌、DVD等で約50の出版をしており、代表的な著作として『7つのステップでわかる税効果会計実務入門』がある。 事務所名 : 福留聡税理士事務所、福留聡国際会計アドバイザリー株式会社、福留聡クラウド会計給与合同会社 事務所URL:http://www.cpasatoshifukudome.biz/
弁護士ドットコムニュース編集部