SNSでの誹謗中傷抑止へ 斎藤知事、条例案の検討進める考え
兵庫県知事選で再選を果たした斎藤元彦氏は19日、約1カ月半ぶりに知事に就任した。就任会見で、「県職員、県議会、県民のみなさんへの感謝の思いをしっかり抱きながらやっていく。一からスタートということで仕事をさせていただきたい」と語った。 【写真】16歳未満はSNS利用禁止 オーストラリア政府が世界初法案提出へ 斎藤氏への不信任決議を可決した県議会との関係は、「良い政策をやっていくという思いは県議会も一緒。大事なのは対話。政策を通じて関係構築はできる」と述べた。 内部告発問題を調査している県議会の調査特別委員会(百条委員会)は、25日に斎藤氏の証人尋問を決めていた。斎藤氏は「当日は(東京で)全国知事会議があるため出席は難しい」と述べ、日程変更の場合は「自分が答えられることをしっかり答える」と話した。 今回の知事選はSNSの発信が注目された一方で、SNSで各陣営や県議に対する中傷が相次いだ。SNSの誹謗(ひぼう)中傷について問われた斎藤氏は「私自身はあくまで自分の政策や思いを訴えてきた」と述べ、1期目の昨年10月に表明したSNSでの誹謗中傷を抑止する条例案の検討を進めていることに言及した。県人権推進室によると、大学教授らでつくる有識者会議を7月に設置し、誹謗中傷を目的とした偽情報の拡散も抑止対象に検討しているという。 斎藤氏は、SNSのマナーやルールの必要性について質問されると、「SNSは冷静によく見ながら使っていくことが大事だ」と述べた。(島脇健史、谷辺晃子) ◇ 会見の主なやりとりは次の通り。 ――人事で体制強化することは 例えば「新県政推進室」のようなものをつくることは考えていない。3年間、県政運営は着実にやってきたから今の体制でしっかりやっていく。 ――外部からの登用も考えるのか 就任したばかりでそういった特別職を含めた人事はこれから熟慮していく。 ――県庁舎の建て替えについては 公約でも掲げているが、1千億円の建設費での計画は白紙撤回しているのでスリムでコンパクトな庁舎を目指していく。有識者検討会で議論しているところなので、どういった県庁舎がいいかを決めていく。(県職員の)「4割出勤」ありきで、元々言っていない。4割出勤を目指しながら議論していく。 ――知事選で他候補を支持した市長もいた 当選が決まった後に、(他候補支持に)名前を連ねた方も普通に来られた。選挙が終われば、そこは市や町としっかり連携してやっていく。それぞれの地域の課題や実情はもう既に共有しているから、一緒になって連携しながらしっかりやっていく。 ――内部告発文書で指摘された県職員へのパワハラはあったのか、なかったのか 改めて私自身は確かに一部不適切な行為をしたということはあるが、あくまでも業務上の指導や注意を厳しくさせていただいたということ。パワハラになるのか、第三者委員会としてこれから審議されていくと思う。ただ、一部の行為によって不快に思われた職員の皆さんがおられれば、そこは申し訳ないと思う。 ――25日の百条委員会にはどう臨むのか 全国知事会議が東京で予定されていて、出席が難しいという状況になっている。審議にはしっかりと応じていく。公務がある場合には正当な理由として難しいということがある。別の機会で対応していきたい。 ――県議会で再び不信任決議案が出たらどうするのか 今回、県民の判断、審判を受けたということで、県民の皆さんは文書問題の対応というのも一つのポイントとして思っていらっしゃるが、やはり良い県政、政策をしっかり進めてほしいというのが今回の民意の表れですから、そこは議員の皆さんもご理解いただけると。 ――選挙期間中の他候補らへのSNSの誹謗(ひぼう)中傷についてどう思うか 今回の選挙戦はSNSでいろんな情報が出たということが報道各社で分析されています。私自身はあくまで自分の政策や自分の思いを訴えてきたという戦いでした。やはり心無い誹謗中傷は皆さんの心を傷つけることになるので、ここはやはり変えていくということが大事だと思う。 SNS条例の制定については、現在、県民生活部の方で検討を進めていると認識している。どういった形でやっていくかというのは引き続き検討を進めていきたい。 ――知事として、SNSに一定のマナーやルールは必要という意識か そうですね、やはり誹謗中傷というものも含めてSNSというのは冷静によく見ながら使っていくことは大事だ。
朝日新聞社