小さな「万能SUV」がマイチェン 熟成のフォルクスワーゲンTクロスへ試乗 95psでも魅力的
95psでも充分 しなやかで落ち着いた乗り心地
95psを発揮する1.0L 3気筒ガソリンターボは、排気量の割にトルクが太く、マナーも良好。軽快に回り、必要な時に必要なだけの力を生み出してくれる。5速MTのレシオはややロングだが、中間加速で不満を感じることもない。変速感も小気味いい。 この上に114psの仕様があり、確かにパワーには余裕が生まれる。とはいえ95psでも充分といえ、7速デュアルクラッチATを選べることが、グレードアップの主なメリットといえそうだ。 ステアリングやペダルは適度に軽いが、フィルターが掛かったように、感触は薄め。扱いやすくはある。ブレーキの強さも、滑らかに調整できる。 試乗車は、大きめの16インチ・アルミホイールを履いていたが、乗り心地はしなやか。路面からの隔離性に優れ、つぎはぎの多い都市部のアスファルトにも、問題なく対処していた。 フェイスリフト前のように、サスペンション・スプリングの柔らかさを感じることもなくなった。従来は100km/h前後で凹凸を通過すると、浮遊感が強く感じられたと記憶している。 姿勢制御はタイト。流れが速めの郊外の一般道でも、ボディの落ち着きが霞むことはない。操縦性には一定の落ち着きがあり、グリップ力も優れている。
小さく合理的なオールラウンド・クロスオーバー
小さなクロスオーバーをお考えで、熟成された実力派がお望みなら、フォルクスワーゲンのTクロスは好適な1択になる。大人なスタイリングも魅力だが、一層のオシャレを望むなら、英国にはクーペ風のタイゴもある。 ブランドらしい洗練性と、優れた車内空間、実用性を備え、エントリーグレードでも品質は高い。より若々しい見た目のライバルも存在するが、Bセグメントの合理的なオールラウンダーとして、モデルライフ後半でも充分な競争力は維持できている。 ◯:充実装備で広々とした車内 マナーの良い走りと運転のしやすさ 使い勝手に優れる後席と荷室 △:スタイリッシュさではライバルに及ばない 少し高めの価格帯
フォルクスワーゲンTクロス 1.0TSI 95 ライフ(英国仕様)のスペック
英国価格:2万3975ポンド(約460万円) 全長:4127mm 全幅:1760mm 全高:1573mm 最高速度:180km/h 0-100km/h加速:11.2秒 燃費:17.6km/L CO2排出量:128g/km 車両重量:1254kg パワートレイン:直列3気筒999cc ターボチャージャー 使用燃料:ガソリン 最高出力:95ps/5500rpm 最大トルク:17.8kg-m/1600-3500rpm ギアボックス:5速マニュアル(前輪駆動)
マット・ソーンダース(執筆) 中嶋健治(翻訳)