センバツ甲子園 神村学園粘り及ばず /鹿児島
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第8日目の27日、2回戦で神村学園(鹿児島)は優勝候補の大阪桐蔭と対戦し、2-4で敗退した。8強入りは阻まれたが、最後まで勝利をあきらめない選手たちの姿をたたえる拍手が鳴りやむことはなかった。【林大樹、早川健人】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 重厚な投手陣と強力打線を有する大阪桐蔭を前に、「先取点を奪う」と意気込んで試合に臨んだ神村学園。一回、先頭の入来田華月(2年)が四球で出塁し4番の正林輝大(3年)が安打でつなぐと、入来田が好走塁で三塁へ。相手の暴投ですかさずホームへ走った。際どいタイミングだったが「隙(すき)があれば足で点を取ろうと思っていたので迷いはなかった」とヘッドスライディングで生還。待望の1点を奪い、一塁側のアルプススタンドを湧かせた。 先発は初戦に続き上川床勇希(同)。「五回を2失点に抑えよう」とマウンドに上がった。しかし2点を失って迎えた五回に、右越えのランニングホームランを献上。3点目を奪われた。試合後上川床は「スライダーが甘く入ってしまった。いい形で次の投手に渡せなかった」と悔やんだ。 守備の乱れもあり3点を追う展開となったが、九回は「後ろへつなぐ、出塁する」と打席に入った先頭の今岡拓夢(2年)が中越え二塁打で味方を鼓舞。続く正林は左翼線の技あり二塁打で続き1点を返した。応援席はこの日一番の盛り上がり。反撃ムードが整ったが後続が続かず神村学園の春が終わった。 小田大介監督は4失策があったことを踏まえ「よく粘ったが攻める守りができなかった」と振り返った。川下晃汰主将(3年)は、「このグラウンドにまた帰って来て日本一を取りたい。甲子園の借りは甲子園でなければ返せない」と再起を誓った。 ◇吹奏楽部も熱戦 両校が演奏、試合盛り上げ 熱戦の傍らで、もう一つの戦いが繰り広げられていた。神村学園・一塁側と大阪桐蔭・三塁側のアルプス席を陣取った吹奏楽部同士。神村学園が中高合わせて66人が「狙いうち」「サウスポー」「ジンギスカン」などを披露すると、吹奏楽部も強豪として知られる大阪桐蔭応援席からは「ウィリアム・テル」序曲やサザンオールスターズ・メドレーなどが響いていた。 神村学園の久木田恵理子教諭(55)は「私たちも対戦を楽しみにしていた。大阪桐蔭の演奏を生で聞きたかったので、夢がかないました」と話した。 野球部員のリクエストで昨夏の甲子園から、得点した後は「オー・シャンゼリゼ」。クラリネットが担当の白浜紗英部長(3年)は「みんなで肩を組んで横に揺れ、応援席がとても盛り上がる」と話した。「大阪桐蔭の演奏は音が飛んで来る感じで、選手じゃないのに圧倒されそう。でも野球部も吹奏楽部も一丸となって戦いたい」と声を弾ませた。【早川健人】