迷走の兵庫自民、知事選候補の擁立断念 一部議員からは「消去法で斎藤氏しか…」の嘆きも
兵庫県の斎藤元彦前知事(46)の失職に伴い、31日に告示される県知事選(11月17日投開票)で、自民党は紆余(うよ)曲折の末、独自候補擁立を断念した。前回選で日本維新の会とともに斎藤氏を推薦した自民は、告発文書問題を受けて早々と同氏に見切りをつけ、県議会最大会派として不信任決議でも主軸を担ったが、候補者探しでは迷走を重ねた。 【表でみる】「誰から聞いたんや、名前言え」詳細なやり取りが明らかになった片山安孝元副知事の主な発言 ■出馬固辞相次ぎ… そもそも、自民県議団(37人)は今月3日の段階で「擁立断念」の方針を固めていた。自民県連関係者によれば、目星をつけていた県幹部らには相次いで出馬を固辞され、「時間切れ」の雰囲気が漂っていた。しかし衆院選への悪影響を懸念する県選出の国会議員側から再考を促され、撤回を余儀なくされた。 衆院選の期間中は、県連幹部が複数の参院議員に接触。出馬の意向を探ったが、準備期間のなさがネックとなり、色よい返事はもらえなかった。そして衆院選が終わるタイミングで「再度の擁立断念」が伝えられた。 県議団内部では以前から同県尼崎市の前市長、稲村和美氏(51)を推す意見が上がっていた。一方で、稲村氏が立憲民主党系の会派「ひょうご県民連合」の一部県議から自主支援を受けることに嫌気して「支援できない」との拒否反応も少なくなかった。 結果、県議団は「自主投票」という玉虫色の結論を出し、15人程度が稲村氏支援に回ることに。不信任を決議した手前、「斎藤氏の支援だけはまかりならない」との縛りをかけた。 ■県議団決定に反発 ただこの県議団の決定に対し、兵庫県明石市議会の会派「自民党明石」が公然と反発。同会派幹部は29日、記者団を前に「自主投票といいながら特定候補の支援を禁じるのは問題だ」と批判し、県議団ではなく県連が同様の決定をするのであればそれに従う、とした。 知事選には参院議員の清水貴之氏(50)も出馬を表明しているが、国政選挙で対立する維新出身。このため「維新は応援できない。といって稲村氏も推せない。消去法で、もう斎藤氏しかいない」という声も、県議以外の地方議員の間では出ているという。 知事選を巡り、党としてのまとまりを欠く自民。ある県連幹部は「斎藤氏だけはだめ。組織としてこれだけは念押ししなければ」と話した。