斎藤知事、県幹部らの百条委での証言否定 元局長処分の経緯巡り
兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で県議会の調査特別委員会(百条委)は25日午後、斎藤氏に最後の証人尋問を実施した。 【写真特集】笑顔であいさつをする斎藤元彦氏 告発文を作成した元県西播磨県民局長の男性(7月に死亡)の懲戒処分を巡る県幹部らの証言について、斎藤氏は「第三者委員会(による調査)を進言された認識はない」と否定した。 斎藤氏の尋問は8月30日、9月6日に続いて3回目で11月の知事選後は初めて。この日は総括質疑が実施された。百条委は審議内容を精査し、年明けをめどに報告書にまとめて公表する方針。 元局長の処分を巡っては、10月の証人尋問で井ノ本知明前総務部長が「公益通報の調査が終わるまで処分を待つべきだと知事に進言し、了解を得た」と証言。その後、斎藤氏から「(自身に対する批判の)風向きを変えたい」と告げられ、「騒がしい状況を早く鎮めたい思いもあったと推察し、(処分の前倒しを)指示として受け取った」と説明した。 小橋浩一前理事も3月下旬、斎藤氏に第三者委による調査を進言したと証言している。 これに対して斎藤氏は「第三者委の話が議論の中で出たことはあるかもしれないが、進言された認識はない。むしろ懲戒処分に該当する可能性があるので、人事当局が内部調査を進めるのが適切だという進言を受けたというのが私の認識だ」と述べた。 さらに前総務部長の証言についても、「風向きを変えたいと発言をしたことは全くない。懲戒処分は人事当局が調査して、該当する事案が認定されたので正規の手続きを経て対応した」と説明した。 一連の問題は元局長が3月、知事のパワハラを含む七つの疑惑を告発する文書を報道機関や県議に配布したことで発覚した。 元局長はほぼ同じ内容を県の公益通報窓口にも通報したが、県は公益通報の調査結果が出る前に内部調査で「核心部分が事実でなく、誹謗(ひぼう)中傷に当たる」と認定し、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。 公益通報の調査結果を待たずに処分に踏み切った県の対応に問題がなかったか、百条委で調査が進められている。【高木香奈、大坪菜々美】