お寿司の作り方、「人が握る」から「ロボットが握る」を経て「プリントアウトする」時代に突入
5月26日まで東京都が開催している「SusHi Tech Tokyo 2024」のショーケースプログラムで、「3Dプリントされた寿司」が展示してありました。 【もっと写真を見る】
■古くから日本人に愛されてきた寿司 現在「寿司」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、酢飯(シャリ)の上にネタがのった江戸前の寿司だと思います。ですが、それ以前は日持ちのする「押し寿司」や「なれ寿司」の方が寿司としては一般的だったそう。 一説によれば、ネタを漬け込んだり発酵させたりする手間さえ惜しんだ江戸っ子のせっかちな気質が、江戸前寿司の誕生に影響しているのではないか、なんて話もあります。 現代では、回転寿司や宅配寿司など、気軽に寿司を楽しむ手段はたくさんありますね。じゃあ、「未来の寿司」はどんなものになるんでしょうか? ■3Dプリントされた寿司たち 2024年5月26日まで東京都が開催している「SusHi Tech Tokyo 2024」のショーケースプログラムの日本科学未来館会場で、「3Dプリントされた寿司」が展示してありました。 山形大学 ソフト&ウェットマター工学研究室による技術展示です。同研究室による3Dフードプリンター「LASERCOOK」を用いて出力した、実際に食べられる寿司(の形状)にロボティクス技術をかけ合わせて作った「やわらかい動く寿司」です。ちなみにシリーズの名称は「スシニギリス」と言うらしい。 まあ、訳知り顔で書きつつ、書いていてよくわからないんですが、とにかくSusHi Tech Tokyo 2024のショーケースプログラムに行くと、動くやわらかい寿司が見れるというわけです。 ■さまざまな食材の味を、同一のクオリティーで再現できる ここで終わってもアレなので、少し話を広げてみましょう。まずは3Dフードプリンターという技術について。 LASERCOOKは、食材やフレーバーを粉末状にしたものをゲル化剤(増粘剤)にあわせて、あらかじめ設定した形状に出力するという装置です。 粉末化さえできれば、さまざまな食材の味を同一のクオリティーで再現できるところに大きなメリットがあります。 将来的な可能性としては、咀嚼や嚥下に支障がある方に、“本物の味を持っているのに”やわらかく食べやすい調理品を提供することもできると思いますし、(水分が抜けているので)長期保存でも材料が腐りにくいというメリットもあります。 さらに話を発展させるなら、いずれこうした技術がさらに進歩して、“食味の正確なスキャン”や“食感の再現”も可能になれば、「自宅で寿司が食べたいと思った瞬間に寿司をプリントしてすぐ食べる」といったこともできるかもしれません。 「なんか寿司食いたくない?」「じゃあプリントする?」みたいな感じで。 文● 貝塚/ASCII