「“ワンチャン逆転できる”みたいな…」闇バイトで若者が犯罪に手を染める理由 応募から加害者となる基本的パターン
闇バイトという言葉は広く知られるようになっていますが、なぜそれでも足を踏み入れてしまうのか。犯罪に手を染めた若者などの社会復帰や、就労などの支援を行う団体「陽和(ひより)」の代表、渋谷幸靖さんは先を見通す力の弱さなどを指摘しています。 【画像で見る】「“ワンチャン逆転できる”みたいな…」闇バイトで若者が犯罪に手を染める理由 応募から加害者となる基本的パターン
■なぜ闇バイトに…“指示役”経験のある支援団体の男性「ワンチャン逆転できる」みたいな
NPO法人「陽和」の理事長、渋谷幸靖さんはかつて、詐欺などの“指示役”として逮捕され、罪を償った過去があります。 自分自身の経験を踏まえ、3年前に愛知県豊田市に自立支援ホームを作りました。 NPO法人陽和の理事長 渋谷幸靖さん: 自立援助ホームという場所になりまして。若者たちが社会へ参加する、自立のために生活する場所です。今、8人の子が生活しています。 NPO法人陽和の理事長 渋谷幸靖さん: 自分が犯罪組織に連絡をしてしまったというような、いろんな若者と関わっていて、加害者となってしまう子たちも何人もいたんですね。 なぜ若者は闇バイトをきっかけに、犯罪に手を染めてしまうのか。 NPO法人陽和の理事長 渋谷幸靖さん: 彼らの用語でいうと「ワンチャン逆転できる」みたいな。本来SNSで100万円の束を見て「お金が稼げますよ、気になる方がいたらメールください」って広告を見たときに、多くの人は怪しいなとか。加害者となる若者ってそれを見て、「俺もこんなに稼げるんだ」って。 目先のことにつられ、先を見通す力が弱い。闇バイトをきっかけに犯罪に手を染める若者の特徴の一つです。
■闇バイトから加害者になる“基本的パターン”
闇バイトをきっかけに加害者になる。警察庁によると、もっとも多く見られる基本的なパターンがまず、SNSで「高額報酬」などと検索し、応募。 すると、犯行グループから連絡が入り匿名性の高いアプリでやり取りを求められます。そこで身分証明書など、個人情報を求められ、送信。 犯罪行為の加担を拒否すれば、個人情報をもとに脅迫され、従わざるを得ないといった流れです。 「1回出るだけで3万円もらえるバイトがあります。やりますか?」 実際に、渋谷さんが関わる16歳の少年のスマホにかかってきた電話の内容です。 NPO法人陽和の理事長 渋谷幸靖さん: 「渋谷さん、いいバイトが見つかりました」って喜んで報告してくれたんです。弁護士のお客さんのところに行って、お金を集金してくる、そこはスーツも全部用意してくれるから僕でもできるんですって。それって受け子や出し子じゃないのって。 自身の経験をもとに、若者の支援にあたる渋谷さん。更生のきっかけは罪を犯して逮捕され、留置所にいたときに面会に来てくれた、母親だったといいます。 NPO法人陽和の理事長 渋谷幸靖さん: 悲しむような母親を1人でも減らすことが、自分にできる唯一の償いなのかなと思って。 渋谷さんは、講演会などで全国を回り、SNSから犯罪とつながらないため必要なことは何なのか考えてもらうきっかけ作りも行っています。 闇バイトを通じて加害者にならないためには、違う世代、違う考えの人との触れ合いが大事だと考えています。 NPO法人陽和の理事長 渋谷幸靖さん: 自分の本音を相談できるような大人が1人でもいれば、未然に防ぐことができたりとか、いろんな相談をできたと思うんですね。子供が本音で(闇バイトなど)の話ができるような親子関係っていう本当に身近なところから始まっていく。