マクラーレン、レッドブル系2チーム間の関係強化に深刻な懸念。F1とFIAに対策求む「健全性と公平性における大きな関心事」
関係強化を進めるレッドブル系2チームに対して、マクラーレンのザク・ブラウンCEOは“深刻な”懸念があるとしてFIAとF1に対応を求めている。 【動画】マクラーレンMCL38”カラーリング”発表。実際の新車発表はまだまだ先! 2024年シーズン開幕に向けて、レッドブルが所有するスクーデリア・アルファタウリは名称が改められ、チーム代表の変更やインフラ整備などテコ入れが行なわれる。 下位で苦しむ現状を好転させるべく、計画の一環としてチームは“兄貴分”であるレッドブル・レーシングからトランスファラブル・コンポーネント(TRC)を従来よりも多く受け取ることとなった。 ただ、現在のF1を席巻するレッドブル・レーシングが姉妹チームを文字通り牽引するこの計画について、ブラウンCEOはその規模感に懸念を示しており、F1側が最大限の注意を払うべき問題として捉えている。 「スポーツとして注目してほしいのは、A/Bチームの共同所有権について、レギュレーション上どのような位置づけにあるかということだ」 2024年マシンのカラーリング発表会でブラウンCEOはそう語った。 「これはスポーツの公平性やファンにとって、深刻な問題だと思う。他のメジャースポーツで認められていないのはそれが理由だ」 「F1が以前のレベルに戻る前に、業界としてこの問題に注視してほしい。みんなレギュレーションに従ってプレーしているが、レギュレーションが異なっているから、バランスがめちゃくちゃなのだ」 またブラウンCEOは、イギリス・ミルトンキーンズに拠点を置くレッドブル・レーシングの近くにイタリア・ファエンツァから元アルファタウリがファクトリーを移す可能性があるという噂の中で、このレッドブル系2チームに対する懸念が増したと語った。 「私の知る限り、アルファタウリはイギリスへ移転するようだ。それは両チームにとって得がある」とブラウンCEOは言う。 「このA/Bチームと共同所有の問題は、他のA/Bチームとは全く異なるレベルで、スポーツの健全性と公平性において、我々の大きな関心事なのだ」 「これら(チーム共同運営のレギュレーション)が導入された当初、このスポーツは異なる状況にいた。我々のように莫大な予算を持つチームと、小さなチームとの間には大きな隔たりがあった。今は、全チームが予算制限に達しているとは言わないが、誰もが予算内で運営している」 「野球用語で言えば、みんな同じ大きさのバットでプレーしていると思う」 「しかしそれが、誰かに不公平なアドバンテージを与えることになるのかもしれない。このスポーツが早急に取り組むべきことだと思う」 ■FIAとF1の関係 ブラウンCEOはレッドブルと元アルファタウリの関係性についてFIAやF1に対応を求めているが、FIAとF1の不和がこの問題を先送りにしてしまうかもしれない。 モハメド・ベン・スレイエムがFIA会長に就任して以降、その言動が度々物議を醸してきた。 2023年のクリスマス前には、FIAがメルセデスF1のトト・ウルフ代表とその妻でありF1アカデミーを率いるスージー・ウルフに対して、利益相反の疑いで調査の実施を発表したものの、48時間後には証拠がないという理由によって調査を断念。ウルフ夫妻はFIAの行動によって受けた風評被害についてFIAを相手に法的措置も辞さない構えだ。 FIAとチームの間にある種の緊張関係が走る中、ブラウンCEOはFIAとF1が今後より協力していけることを願っていると語った。 「FIAとF1(の問題)に関しては、その関係がより結束した形で前に進めることを望んでいる」とブラウンCEOは言う。 「どちらもこのスポーツにとってベストなことをしたいと考えていると思うし、それを中心に考えるのは素晴らしいことだ」 なお、ウルフ夫妻に起こった一件からの影響についてブラウンCEOは「それ以来、何も聞いていない」と語り、次のように続けた。 「公式にも非公式にも何も聞いていない。慎重に言葉を選んでいる人もいるみたいだからね。トトとスージーの状況については誰とも話していないよ」 「我々はF1アカデミーを心から応援しているし、そこに関われることにワクワクしている。スージーのことは昔から知っているし、とても誠実な人だ。だから、何の心配もないよ」
Jonathan Noble