大谷翔平、最高峰スイングで“怪物”若き豪腕から豪快弾 球場どよめく真っ向勝負、全米中が満喫
<パイレーツ10-6ドジャース>◇5日(日本時間6日)◇PNCパーク 【ピッツバーグ(米ペンシルベニア州)5日(日本時間6日)=四竈衛】「ユニコーンVS怪物」の初対決が実現した。ドジャース大谷翔平投手(29)が、パイレーツの剛腕新人ポール・スキーンズ投手(22)を相手に、力勝負を披露した。第1打席の豪快な空振り三振に続き、第2打席にはバックスクリーンへ同地初、通算27球場目の一発となる15号2ランを決めた。試合には敗れたが、スキーンズから3打数2安打2打点。フルスイングと剛速球の対決に、全米中がメジャーの醍醐味(だいごみ)を満喫した。 【動画】大谷翔平、“怪物”撃ち! スキーンズの100マイルをバックスクリーンへ ◇ ◇ ◇ 一球ごとに感嘆の声とため息が漏れるほど、2人が向き合う空間には、特別な空気が漂っていた。3回2死一塁。打席の大谷は、フルカウントからスキーンズが仕留めにきた100・1マイル(約161キロ)の高めの速球を、ためらうことなく振り抜いた。若武者が思い切り腕を振って投げ込んできた剛速球は、昨季本塁打王のバットによって105・6マイル(約170キロ)の放物線へと変化し、中堅バックスクリーンへ。メジャー7年目で初めて、100マイル超の球を本塁打にした。 怖いもの知らずの新人の気概を、大谷は察知した。第1打席は、すべて100マイル(約161キロ)超えの速球をフルスイングし、3球三振を喫した。力と力の真っ向勝負。球場内には、どよめきが起こった。「どの投手も抑えるために最善の球を投げてくると思う。そこは、どの投手でも」。22歳右腕の負けん気を感じた一方、「あまりいいスイングだったとは言えなかった」と自己分析。キッチリと修正して、豪快弾と第3打席の右前打につなげた。 メジャー7年目。球界の看板選手となった現在、才能あふれる若手が続々と頭角を現すなど、選手層の「新陳代謝」は年々加速してきた。「投手も打者も、いい選手がどんどん入れ替わりで出てくる。そのスピードは、すごく早いというのを毎年感じます」。大谷自身、米移籍以降は、打者としては剛腕バーランダー(アストロズ)、投手としては大砲ジャッジ(ヤンキース)らと対決し、しのぎを削りながら、投打ともに技量を磨き続けてきた。 ただ、今やスキーンズのみならず、メジャーの全投手が必死になって大谷に立ち向かう時代。来月5日に30歳を迎える大谷にすれば、いつまでトップレベルを維持できるかは予想できない。この日も一塁走者となった際には、違和感の残る左太もも裏をもむなど、常に心技体を一致させることは簡単ではない。 「良い日もあれば悪い日もある。それを毎日チェックしながらやってる感じかなと思います」 一瞬だけでなく、いかに長く輝き続けるか。敵地で連敗した中、大谷が見せたメジャー最高峰のスイングは、22歳右腕へのメッセージかのようだった。 ▽ドジャース・ロバーツ監督(大谷の本塁打について)「コース際の球を、球速に合わせてセンターへ本塁打を運んだ。彼は球界でもベストの打者。今夜のように、ストライクゾーンを見極めて強く打ったのは、確かにいい兆候だね」 ▼大谷がPNCパークで初本塁打。大リーグで本塁打を放った球場は、日本選手最多を更新する27球場目となった。大谷が日本で本塁打を記録したのは10球場。日米37球場で本塁打を打った日本人大リーガーは、イチロー(日19、米18)、城島(日21、米16)、福留(日25、米12)、青木(日19、米18)に並ぶ最多。 ▼大谷がスキーンズの100・1マイル(約161キロ)直球を本塁打。本塁打はメジャー通算186本目だが、100マイル以上の投球を打ったのは初めて。過去最速は20年7月30日にアルタビーラ(マリナーズ)から打った通算42号の98・5マイル(約159キロ)だった。100・1マイルのアーチはMLBのラングス記者によると08年以降、ドジャースでは22年8月13日マンシーの101・2マイル(約163キロ)に次ぐ2位。 ★打者大谷対好投手アラカルト ◆バーランダー(アストロズ) 18年5月16日、サイ・ヤング賞3度の剛腕に4打数3三振。通算2500三振も奪われた。同年8月25日は4番で初アーチ。通算23打数5安打2本塁打。 ◆コール(ヤンキース) 22年8月31日、対戦21打席目の初本塁打は日本人初の2年連続30号。大谷は初対戦した18年に「いくら払ってでも経験する価値のあることなのかな」。通算20打数4安打1本塁打。 ◆カーショー(ドジャース) 17年に入団交渉に同席もエンゼルス入りに「時間の無駄だった」と怒り。通算11打数無安打4三振。22年球宴では中前打もけん制死。現在は同僚となり「ここまで優れているとは知らなかった」。 ◆ダルビッシュ(パドレス) 日本ハムの背番号11を継承。今季開幕戦の初対決は2打数1安打でダルビッシュが「なんだかんだ情が入ってた」。通算5打数1安打0本塁打。