ウガンダで同性愛厳罰化 なぜアフリカは同性愛に厳しい?
2月24日、ウガンダのムセベニ大統領は同性愛を「助長」することを禁じ、さらに同性愛行為をくり返した者に終身刑を課すことができる法律に署名しました。ウガンダだけでなく、アフリカでは近年、同性愛を取り締まる法律が多く成立しています。なぜ、アフリカは同性愛に厳しいのでしょうか。
世界でも同性愛に厳しいアフリカ
「国際レズビアン、ゲイ協会」の2013年報告書によると、同性愛を取り締まる法律は世界76か国にあり、このうち36か国はアフリカの国です。多くは罰金か、数年から数十年の禁固刑ですが、例えばスーダンでは同性愛による逮捕が3回目の場合、最高で死刑すらあり得ます。 同性愛を厳罰化する動きに対して、人権団体だけでなく、欧米諸国政府からも批判が相次いでいます。ウガンダの場合、米国政府は「二国間関係が損なわれ得る」と、法案に署名しないようムセベニ大統領に警告していました。法律の発効を受けて、デンマークやノルウェーはウガンダ向け援助の対象を、政府から民間団体に切り替えています。 一方、こうした法律が成立した国の指導者たちは、ほぼ共通して「西洋的な価値観(道徳的に堕落したものというニュアンス)からアフリカの伝統や文化を守る必要がある」、「法律を制定するのに、外国から指図される筋合いはない」、「国民の多くが支持している」と主張しています。
同性愛が取り締まられる要因
欧米諸国から厳しく批判され、さらにヨーロッパに植民地化される以前、アフリカでも同性愛は珍しくなかったとする歴史家もいるにもかかわらず、同性愛への取り締まりが強化されている背景には、大きく三つの要因が考えられます。 (1)宗教の影響……欧米メディアでよく指摘される背景には、イスラムだけでなく、キリスト教のなかでも厳格な米国の福音派が、アフリカで普及していることがあります。ムセベニ大統領も福音派です。今回のウガンダの法律に、多くの欧米キリスト教団体は非難の声明を出していますが、TV説法で有名な米国の福音派牧師アンドリュー・ウォーマック氏のように、これに理解を示すキリスト者もあります。 (2)不満のガス抜き……資源ブームで景気がよくなっても、いまだにアフリカの人口の8割以上は貧困層で、貧富の格差は逆に拡大しています。ヒューマン・ライツ・ウォッチなど人権団体は、同性愛者が社会的不満をぶつける「スケープゴート」にされていると指摘。ウガンダでは2011年1月に大衆紙が「つるし上げるべき」有名な同性愛者の顔写真を掲載し、それによって人権活動家デービッド・カト氏が殺害されるなど、いわゆるヘイトクライムも頻発しています。