ウガンダで同性愛厳罰化 なぜアフリカは同性愛に厳しい?
(3)政治的な手段……各国政府にとって、同性愛の取り締まりは、それぞれの国で大きな影響力をもつイスラム、キリスト教会双方の支持を得やすいものです。さらに、ムセベニ大統領は法案署名にメディアを立ち会わせましたが、これは国内向けに「外国に屈しないリーダー」イメージを広げるデモンストレーションになりました。
欧米とアフリカの火種
ノーベル平和賞を受賞した南アフリカのツツ大司教は、今回のウガンダの法律を、公権力が私生活を統制するアパルトヘイト体制になぞらえて非難しました。しかし、こういったアフリカ内部からの批判の声は、必ずしも大きくありません。 貧困国が多いアフリカは援助への依存度が高く、これまで欧米諸国と対立することは稀でした。しかし、資源ブームのもとで新興国もアフリカ向けの投資や援助を増やしており、これがアフリカ各国政府の欧米に対する「遠慮」を弱めているといえます。 同性愛をめぐる対立は、欧米とアフリカの一つの火種になるといえるでしょう。 (国際政治学者・六辻彰二)